フルラー症候群の後ろ向き調査の結果を紹介
 
2013年3月27日 米国学会短信  カテゴリ: 血液疾患・小児科疾患・産婦人科疾患

 米国血液学会(ASH)は3月14日、フルラー症候群などの消耗性疾患の治療に臍帯血移植が有効であるという研究結果を紹介した。同学会のBlood誌オンライン版に掲載している。

 フルラー症候群(HS:代謝酵素であるα-L-イズロニダーゼの不足を特徴とする先天性代謝疾患)の治療において、造血幹細胞の移植に代わるものとして臍帯血移植が提案されている。臍帯血によりα-L-イズロニダーゼのレベルが上昇し、より少ない合併症での延命が可能になると想定されている。

 移植する各種幹細胞の安全性、有効性、ドナーソースを比較する目的で、1995-2007年に造血細胞移植治療を受けたHS患者258人(2カ月-18歳、移植時平均年齢16カ月)の転帰を分析する後ろ向き研究を実施した。対象患者の45%が非血縁臍帯血移植(うち81%が非適合ドナー)、残りが非血縁ドナーまたは適合同胞ドナーからの骨髄幹細胞の移植を受けていた。

 移植後約5年間の追跡によれば、適合同胞細胞または適合/非適合の非血縁骨髄幹細胞の移植を受けた患者よりも非血縁臍帯血の移植を受けた患者のドナー細胞の生着率が平均して高く、酵素レベルも高かった。また、臍帯血移植を受けた患者の98%に移植片の生着が認められ、酵素レベルも正常となった。これらの結果により、非血縁臍帯血移植を受けたHS患者の長期的転帰の改善が示唆される。

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