厚生政策情報センター  3月15日(金) 配信
看取りの基本方針の整備は7割未満、施設での看取り験7割も困難さ浮き彫りに―高齢者ケア施設で働く看護職員に初の実態調査―(3/4)《日本看護協会》

 日本看護協会は3月4日に、「高齢者ケア施設で働く看護職員」に対して行った初の実態調査結果を公表した。

 本調査は、高齢者ケア施設で働く看護職の労働条件・労働環境の実態を把握し、看取りに対して感じている課題を明確化することを目的としている。介護老人 保健施設・特別養護老人ホーム・グループホームに勤務する看護職6024人を対象に、(1)看取りケア(2)労働条件・労働環境―の現状などを調査してい る。

 調査結果を見てみると、(1)の「看取りケア」では、現在勤務している施設で看取りケアをした経験がある人は69.7%。これを施設ごとに見ると、老健施設・グループホームは共に65.9%だったが、特養ホームは82.9%と割合が高かった。また、「施設での看取りの基本方針」が「ある」と回答したのは65.4%で、「看取り期の判断基準」「医療機関搬送の判断基準」については、「ある」との答えが半数弱にとどまった。

 (2)のうち、「オンコール業務」では、1ヵ月間にオンコール業務についた日数は、平均6.9日で、直近のオンコールにおいて1晩で連絡を受けた回数は 平均1.3回だった。その際の手当は「ある」が65.6%、「ない」が31.2%で、約3割がオンコール業務に対する手当が支払われていなかった。

 また、「オンコール業務で負担に思うこと」で最も多いのは、「連絡・呼出しがあるかと思うと身体的・精神的に休まらない」が39.0%、「連絡・呼出し があると、身体的に疲労が残る」が11.5%。これらを合わせると、実際の呼出しの有無にかかわらず、約半数の人が身体的・精神的負担を感じている状況に ある。