共同通信社  3月6日(水) 配信

 安倍晋三首相は6日午前の参院本会議で、貿易や投資で高いレベルの自由化を目指す環太平洋連携協定(TPP)交渉に関し「これまでに得られた情報で、公的医療保険制度の在り方そのものは議論の対象となっていないと承知している」と明言した。「個別の食品安全基準の緩和も議論されていない」とも明らかにした。

 国民皆保険制度について「日本の医療制度の根幹であり、揺るがすことは絶対にない」と強調した。食品安全基準に関しても「国際基準や科学的知見を踏まえ、適切に対応する」との立場を力説した。

 医療界などから、TPPに参加すると公的医療保険適用の診療と適用外の自由診療を併用する「混合診療」が全面解禁され、国民皆保険制度が崩壊するとの懸念が示されている。食品安全では、農家や消費者団体などが残留農薬基準や遺伝子組み換え食品の表示義務の緩和につながると指摘。自民党は、国民皆保険制度と食品の安全基準の堅持を衆院選公約に盛り込み、2月にあらためて党方針として確認している。

 首相は、自由貿易推進の立場から「積極的に国際的なルールづくりに参加していくことが重要だ」と指摘した上で、TPP交渉参加の是非は「国益にかなう最善の道を求めていく」とした。参加した場合は「状況の進展に応じて、しっかりと国民に情報提供していく」と約束した。

 参院は首相の施政方針演説など政府4演説に対する2日目の各党代表質問を実施し、公明党の山口那津男氏への答弁。