雑誌「フォーブス」より(2013年1月13日 Forbes.com)
http://www.nikkei.c/article/DGXZZO50651160W3A110C1000000/
(抜粋)
・昨年12月、極めて重要な報告書が粛々と発表された。そこに結論として書かれているのは、
原子力科学の専門家が長年にわたり主張してきたことだ。 つまり、約0.1シーベルト(100ミリ
シーベルト)または10 rem(100 レム・rem=1シーベルト)以下の放射線の被曝(ひばく)
大した問題ではない。 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR提出。

福島事故で「健康への影響無し」
・人体に影響を与えない程度の放射線量しか浴びていないのに、曝の恐怖に怯えて暮らし、
まさにそうした不安に心身をさいなまれている何万人という日本人をケアするといったことだ。
・自然放射線量が2.5ミリSv(250 ミリrem)から3.5ミリSv(350 ミリrem)に上昇しても、発がん率は
上昇せず、認識できるような公衆衛生上の影響は何も起きない。同じように、自然放射線量が
2.5ミリSv(250 ミリrem)から1ミリSv( 100 ミリrem)に低下しても発がん率は低下せず、公衆衛生
上 の問題に一切影響を与えない。
・重要なのは、通常の議論は短期間(一度)に強烈な放射線に被曝することを想定しており、同じ量
を1年といった長い期間をかけて被曝した場合、影響はさらに小さくなることだ。つまり毎月0.1Sv
(10 rem)を被曝すれば影響はあるかもしれないが、年間で同じ0.1Svを受けた場合は、慢性に
せよ、急性にせよ認識できるような影響は一切ない。
・さらにUNSCEARは、一昨年の福島の原発事故による識別可能な人体への影響はなかったとし
ている。「影響無し」としているのだ。
・日本人は再び国産の食品を口にできる。 放射線による汚染が軽微で、米国・コロラド州やブラジル
といった世界各地の自然放射線並みのレベルにとどまっていれば、避難地域への帰宅も始めら
れる。

浪費される膨大な資金
・LNT仮説を要約すると、あらゆる放射線は命にかかわる有害なもので、被曝線量がどれほど低く
ても人体に有害な影響を与えるとする考え方だ。 被曝量が2倍なら発がん率も2倍になる、と。
第二次世界大戦後にヘルマン・マラーが提唱し、UNSCEARを含む国際機関が採用したが、
その 有効性が最も発揮されたのは冷戦中に核兵器実験を中断させるための交渉の切り札と
して使われたときだ。 世界に放射能への恐怖が広がったのは、その副作用である
(記事「マラーはウソをついたのか?」参照)。

■国連総会で承認された報告書
UNSCEARは世界各国の専門家で構成される独立機関として1995年から定期的に会合を開い
ている。 原爆の生存者、チェルノブイリ原発事故の影響、産業界で起きた放射線による事故、
医療現場での放射線治療の研究を通じて放射能への人類の理解を促進するとともに、放射性
物質による発がん性が低いことも明らかにしてきた。
・専門家の多くは長年、何もしないことが害悪になる重大な問題について、結論を先延ばししたり、
言葉を濁すようなことはやめようとしてきた。回の報告書は好ましい変化だ。報告書は国連総会
で承認されたので、今後は世界中の国々が独自の放射能安全策を策定するのに参考にするだろう

■日本に与える重大な影響
・放射能は思っていた以上に危険である、国内の食品は有毒だと伝えれば、国民が安心すると思っ
たのだろうか。彼らは正気だったのか? この結果、国民は日々口にしている食品にさらに不安に
なるという意図しない影響が生じ、安全な食品は危険なカテゴリーに入れられ、食品輸出は抑制
され、経済的・社会的損害はさらに広がった。
・UNSCEARのウォルフガング・ワイス委員長は、事故のあった原発の周辺地域の住民、労働者、
子供たちには、放射能による健康への影響は一切観察されていない、と述べている。 これは世界
保健機関(WHO)や東京大学が既に発表した研究成果とも一致している。 原発周辺地域の住人
が被曝した放射線量は非常に低く、識別できるような健康被害が生じることはまったく考えられ
ない。
・日本政府は様々な失敗を犯したが、福島県で速やかに避難を実施し、汚染された食品や飲料水
が消費されるのを正しく防いだ。これは旧ソ連政府が意図的に市民から情報を隠したチェルノブイ
リ事故とは対照的だ。

日本人は恐怖ではなく真実に基づき行動を!
こうした見方が放射性廃棄物の処分にどれほど重大な意味を持つは、別の機会に譲ろう。
・結局のところ、放射能への恐怖ではなく真実にもとづいて行動するように変わらなければ、われ
われは日本、ベラルーシ、ウクライナの人々に責務を果たしたことにならないうえ、 今後も見当
違いのことに時間とカネを費やすことになるだろう。
反核運動家や陰謀説が好きな人々は今回の国連の報告書を受け入れないだろうが、彼らは
どのみち国連が嫌いなのだ。