厚労省予防接種部会、基準案をおおむね了承

2013年1月25日 島田 昇(m3.com編集部) 

 厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会(部会長:加藤達夫・国立成育医療研究センター名誉総長)は1月23日に第24回会合を開き、予防接種制度の見直しについて議論した。ワクチン接種後の副反応の報告基準の設定について、作業班から「重大な副反応」を軸にした基準案が示され、おおむね了承を得た。早ければ4月1日施行が目指されている予防接種法改正案に盛り込まれ、医療機関の開設者もしくは医師に報告義務が課される見通し。

 作業班は川崎市衛生研究所長の岡部信彦氏を班長に構成。昨年12月から今年1月までの期間に3回開催し、副反応の報告義務を課す対象は、重大な副反応が生じる可能性のある7ワクチンで、医師等が報告するまでの期間を設けるという内容の報告基準案をまとめた。

 重大な副反応を軸に報告基準案としたのは、薬事法に基づく添付文書で「重大な副反応」とされる症状は重篤であり、ワクチンと一定程度の科学的な関連性が疑われるため。発熱など重篤とは言えない症状については、報告基準に定める必要がないと判断した。一方、副反応の報告基準に定めない症状についても、入院を要する場合や死亡または永続的な機能不全に陥るような症状で、予防接種に起因すると疑われる場合は「その他の反応」として報告を求める必要があるとした。

 報告基準案では、四種混合ワクチンや日本脳炎など7ワクチンの副反応として考えられる事象・症状の「アナフィラキシー」「化膿性リンパ節炎」「肝機能障害」「間質性肺炎」「急性散在性脳脊髄炎」「脳炎・脳症」「ギラン・バレー症候群」「けいれん」「血管炎」「血管迷走神経反射(失神を伴うものに限る)」「血小板減少性紫斑病」「BCG骨炎(骨髄炎、骨膜炎)」「全身播種性BCG感染症」「喘息発作」「皮膚結核様病変」「皮膚粘膜眼症候群」「ネフローゼ症候群」の17つとした。

 接種後症状が発生するまでの時間については、一定時間の余裕を見た数字とし、例えば麻しんによるけいれんは過去にワクチン接種7日から14日後の増加が報告されていることから21日とし、それまでの報告を求めることとした。これについて、慶応義塾大学法科大学院准教授の磯部哲氏は「報告は発生時間によらず、気づいたらできるだけ早くとした方がいい」とした。

 報告は医療機関の開設者か医師に義務付け、厚労省にFAXで直接報告するよう求める方針。報告義務に違反した場合の「罰則規定などは設けないだろう」(健康局結核感染症課長の正林督章氏)としている。

法改正と同時に新委員会で継続議論

 正林氏は、予防接種部会について「今回が最後になるかもしれない」とした上で、今国会に予防接種法改正案を提出し、4月1日の施行を目指すと説明。内容は昨年5月にまとめた「第二次提言」をベースとしたもので、3ワクチン(子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌)の定期接種、予防接種部会を発展的に引き継いだ常設の委員会の設置などになる模様だが、「調整中」(正林氏)としている(『 3ワクチンの定期接種化、財源確保が焦点』と参照)。