2013年01月15日

 最高裁は1月11日、厚生労働省令で第1、2類の一般用医薬品のインターネット等の販売を規制するのは違法という判断を下しています(共同通信の記事はこちら)。国を訴えていたのは、「ケンコーコム」(東京都港区)と「ウェルネット」(横浜市)。勝訴を受け、両社ともネット販売を再開しています。

 2009年6月に施行された改正薬事法は、一般用医薬品を副作用リスクに応じて3分類することを定め、省令で、スイッチOTCの胃腸薬や風邪薬などが含まれる第1、2類一般用医薬品については、薬局での対面販売を義務付けています。

 2010年3月の東京地裁判決では、副作用による健康被害を防ぐための規制の必要性が認められ、国が勝訴。しかし、2012年4月の東京高裁判決では、改正薬事法にネット販売の禁止を明記した規定はないため、「第1、2類の一般用医薬品のネット販売を一律に禁止した省令は法の委任の範囲を逸脱する」などと判断され、国が逆転敗訴しました。最高裁判決は、この高裁判決を支持しています。

 ネット販売をめぐっては、販売存続を求める署名活動がネット上で展開されたり、2011年3月の行政刷新会議の「規制仕分け」でも取り上げられてきました(『第3類以外のネット販売の可能性を検討すべき』を参照)。

 ネット販売推進派は、その利便性を強調します。また対面販売であっても、十分な説明がなされているか、疑問視する意見があります。「以前に使ったことがあるか」との薬剤師の質問に、「はい」と答えるとそのまま購入できるのが現状です。一方で、医療者からは、一般用医薬品そのものの濫用や、「医療機関で服用薬をチェックする際などに、市販薬を申告する患者さんはどの程度いるのか」など、その安全性に対する懸念の声も上がっています。

 厚労省は1月11日、「今後、関係事業者などの関係者に広く御参画をいただき、法令などの郵便等販売に関する新たなルールを早急に検討することとしております」という田村厚労相の談話を発表(厚労省のホームページを参照)。2月にも検討会を発足させる予定です。