共同通信社  1月8日(火) 配信


 政府、与党は7日、70~74歳の医療費窓口負担を1割に据え置いている現行の特例措置を当面継続する方針を固めた。15日に閣議決定する2012年度補正予算案に、今年4月から1年間特例措置を続けるための経費約2千億円を計上する。

 財政状況の改善や世代間格差の是正を図るため、本来の2割に引き上げざるを得ないとの意見もあったが、負担増が高齢者の反発を招くのは必至のため、夏の参院選後に議論を先送りして批判を回避すべきだと判断した。

 財務省や厚生労働省は、団塊世代の高齢化による医療費の増加に備え、70~74歳の窓口負担引き上げを早期に実施したい意向だった。厚労省は昨年11月の社会保障審議会医療保険部会(厚労相の諮問機関)で、今年4月以降に70歳に到達する人から順次2割に上げる見直しを提案した。

 自民、公明両党は、参院選を意識して4月の引き上げ開始は避けるものの、来年1月以降に70歳になる人から2割にする案をいったん検討した。

 しかし与党内ではその後、参院選前に負担増を決定すれば高齢者の反発を招くとの懸念が広がり、公明党を中心に13年度末まで特例措置を続けるべきだとの声が強まった。

 自民党は7日に開いた厚労部会で窓口負担の在り方を議論。2割への引き上げをめぐって賛否両論が出たため、議論の内容を田村憲久厚労相に伝え、政府に慎重な対応を求めることを確認した。