2013.1.3 22:10
 民主党から自民党を中心とする安倍晋三政権への交代にあわせて、産経新聞社が国内の主要企業106社に行ったアンケートで、経済政策に期待する企業の割合が7割に上った。デフレ脱却を最重要課題に掲げた姿勢を高く評価する意見が目立ち、「アベノミクス」の実行による経済成長への企業の渇望を浮き彫りにした。企業業績の回復に向けては、輸出企業の経営環境の改善につながる円高の是正を求める声が多かった。

 大胆な金融、財政政策と成長戦略で景気刺激を狙う安倍路線に対して企業はおおむね好意的だ。

 経済政策に期待が「大いにできる」(12%)と「ある程度できる」(59%)はあわせて71%に達した。理由では「デフレ脱却のための経済対策に真剣に取り組む姿勢がある」(小売り)などと景気重視のスタンスを多くの企業があげた。安倍首相が強く求める日銀による物価目標設定を柱とする金融緩和策に対しては、「日本経済に対して好影響が期待できる」(化学)、「デフレ脱却に期待感が持てる」(運輸・旅行)とメリットを指摘する意見があがった。一方、期待が「まったくできない」とする回答はなし。「あまりできない」は1%で、「公共投資推進による過去への逆戻り」(自動車)と財政規律のゆるみが懸念された。

  企業の業績の改善・回復のために優先的に実行を求める対策(複数回答)は、「円高対策」を最多で過半の57社があげ、次いで「個人消費の回復策」(47社)が多かった。日本経済発展に向けて優先すべき政策(複数回答)は、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの経済連携」を38社が求め、「財政再建」(28社)や「エネルギー政策の見直し」(15社)、「法人税の実効税率の引き下げ」(13社)を上回り、経済外交問題への関心の強さがうかがえた。

 アンケートは自民党が圧勝した昨年12月16日の衆院選投開票後の約1週間で行った。

 また産経新聞社は11月下旬から12月上旬にかけて主要123社を対象に景気認識などに対するアンケートを行った。昨年最後の取引(12月28日)の東京株は、政策期待を追い風に平成24年の最高値で終えたが、アンケートでは59%が景気の後退感を指摘。緊縮財政で米国の景気が悪化する「財政の崖」の回避策を盛り込んだ法が2日に成立したものの、収束しない欧州債務危機を背景に景気への不安は根強い。

(msn産経ニュース)