不祥事なかなか減りません 悩める橋下市長、就任5カ月で懲戒処分70件超 
2012.6.10 11:14

 橋下徹大阪市長が市職員の不祥事に頭を悩ませている。服務規律刷新に関するプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ「厳罰化」も唱えてきたが、市長就任から約5カ月間で懲戒処分は70件を超えた。市は不祥事抑制の数値目標も立てたが、約3万8千人もの職員を抱える中で「根絶」を掲げられないところに苦心がにじむ。市政改革を進める橋下市長だが、職員不祥事については明確な道筋を描ききれていないようだ。


いらだち隠さず


 「数字を出した以上は守ってもらわないと困る。前近代的といわれるかもしれないが、局長全員の責任で取り組んでもらいたい」

 6日の市最高幹部会議。「過去5年間の平均からの半減」を前提に、6~11月の半年間の懲戒処分を40件以内に抑えるという数値目標が決まった際、橋下市長は幹部たちにハッパをかけた。不祥事が隠蔽される可能性も考慮し「隠した場合は厳罰。僕は隠すことが大嫌いだ」とくぎを刺した。

  橋下市長は、不祥事対策の成果が出ていないことにいらだちを隠さない。3月、PTの初会合では「ルールを守らない職員には免職もやる。裁判闘争になっても構わない」と宣言。4月には、大阪府警のOB4人を新たに監察課に採用し、綱紀粛正を断行する姿勢を打ち出した。


危機意識に疑問


 だが4月以降も、市営地下鉄四つ橋線本町駅で助役が喫煙して火災報知機が作動し、電車の運行を妨げた案件など、不祥事が続発。就任から約5カ月間で逮捕された職員は8人、懲戒処分は71人(5月末時点)に達した。昨年度の懲戒処分は130人、逮捕者は18人で、橋下市政になっても昨年度とほぼ同じペースで起きている計算だ。

 職員への危機意識の浸透にも疑問符がつく。橋下市長肝いりの入れ墨調査では、15人が回答を拒否した。市長は「命令に従わなくて平気なんていう職場はあるわけがない。それを許していた公の行政組織がおかしい」と吐き捨てた。

 不祥事なかなか減りません 悩める橋下市長、就任5カ月で懲戒処分70件超 
2012.6.10 11:14 (3/3ページ)[west政治]

 市長が不祥事対策に躍起になる背景には、目玉施策と位置づける「市政改革プラン」の存在がある。5月に示された素案では、平成24~26年度の3年間で、市民サービスや補助金のカットなどで488億円を削減することが盛り込まれた。

 「住民に負担をお願いをするときに、市の服務規律がこういう状況なのは不満だ」。市長には、現状のままでは市民の理解は得られないという危惧がある。


「十分と思わぬ」


 5月には、橋下市長が昨秋の市長選で公約した職員基本条例案が成立した。人事評価を5段階の相対評価で行い、最低ランクが2年以上続いた場合には分限免職の対象になると規定。同一の職務命令に3回違反した職員にも分限免職が可能になった。

 採決では橋下市長と対立する自民も賛成に回った。「時宜を得ており、綱紀粛正のためにも必要だと考えた」と自民市議。野党会派も不祥事への厳格な対処は市の重要課題との認識を共有している。

 懲戒処分の数値目標を決めた市は、今後部局ごとに達成に向けての取り組みを策定する。

 橋下市長はかみしめるように語る。「一度これでやらせてください。決してこれで十分だとは思っていません」

(msn産経ニュース)