女系天皇反対、ご発言 男系継承、方法を提案
2012.6.7 08:23

 三笠宮家長男の寛仁(ともひと)親王殿下は、小泉純一郎内閣で検討された女系天皇容認を含む皇室典範改正に関する議論で、皇族のなかで唯一、女系天皇に反対する考えを明らかにされた。政治にまつわる問題に皇族が意見を表明するのは異例のことだった。

 「世界に類を見ない我が国固有の歴史と伝統を平成の御世(みよ)でいとも簡単に変更して良いのかどうか」

 寛仁さまは、平成17年に首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇を容認し、性別にかかわらない長子相続などを盛り込んだ最終報告書を提出したことについて、会長を務める福祉団体「柏朋会」の会報に批判の文書を掲載された。

 「天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代・神武天皇から連綿として一度の例外も無く、『男系』で今上陛下まで続いてきているという厳然たる事実です」と述べ、元皇族の皇籍復帰や、女性皇族に養子を元皇族(男系)から取ることができるようにするなどの具体的な方法をあげて男系相続の道を探ることを提案された。

 こうした発言に、皇室典範は日本国憲法における法律の一つとの立場から、改正議論は「内閣の責任で対応し、国会で決議されるもの」との立場を貫いてきた宮内庁は、幹部が寛仁さまに直接会い、ご発言を控えるように要請する事態にも発展した。

  女系天皇議論は、秋篠宮家に41年ぶりの男子皇族となる悠仁(ひさひと)さまが誕生されたことで事実上、白紙に戻されたが、宮内庁関係者の中からは、寛仁さまの発言を「自分が言わねばと、お立場からやむにやまれぬお気持ちでおっしゃったもの」と受け止める声もきかれた。

 寛仁さまは、18年2月にも産経新聞の単独インタビューで、有識者会議が旧宮家の皇籍復帰を「国民の理解と支持を得ることは難しい」としたことに対し、皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまが皇位継承者となり「女性天皇の配偶者」が陛下と呼ばれることのほうが違和感があるとご批判。「あらゆる手を尽くした上でも次の世代が女性ばかりだったという状況になれば、そのときに女帝・女系の議論に入ればいい」と述べられていた。

 野田佳彦内閣は、昨秋から女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設を議論しているが、ご病状もあり、寛仁さまが公の場でお考えを表明されることはなかった。

(msn産経ニュース)$いのまたなおひこ☆4