東日本大震災から1年(m3.com医師会員アンケート)

「息の長い支援必要」「西日本の先生、関心を」◆Vol.11

被災3県以外から:全国の医療者へ

2012年3月27日 橋本佳子(m3.com編集長)


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【被災3県以外から:全国の医療者へ】
・余力のある大学や大病院は、数年単位で、医師派遣を継続してほしい(北海道、公立病院、50代)

・災害医療に参加することは、支援のみならず、限られた薬品器材による医療、被災者の心情のくみ取り、関係者との連携等々、自分にとっても極めて多くを学ぶことのできる機会です。ぜひ積極的に参加しましょう(北海道、その他の公的病院、50代)

・被災後、かなりの時間が経ってから、短期間ではありますが、何度か異なる地域への支援に入り、被災当初から、全国各地から数多くの医療関係者が被災地支援に伺われたことを見聞しました。被災地の医療関係者の皆さんは、とても感謝していらっしゃいました。混乱の中で撮られたみなさんの写真や、後日送られてきた寄せ書きが飾られていました。報道はすっかり少なくなりましたが、まだまだ被災地は、あのときの状況とほとんど変わりがない状態が続いています。住民は体育館のような避難所から、家族のための仮設住宅へと移りましたが、仮住まいであることに違いはありません。トラウマを抱えた人も苦しみ続けています。わずかな時間で良いので、支援を続けていただければと思います(北海道、その他、40代)

・被災地支援された先生方、大変お疲れ様でした。実感された先生もいらっしゃるかと思いますが、大災害時の医療行為は本当に限定的となります。むしろ後方支援体制の充実が重要のように思います。当方も透析施行していたため、臨時透析を施行していただき、非常に助かりました。現地に赴くことのみが支援の最善策とは思えません。たとえ遠方でも、受け入れ体制を取っていただくことが、現地の医療従事者にとってどんなにありがたく、また励みになるかをお考えいただきたく思います(茨城県、民間病院、40代)

・被災地に限らず、医療の現場は、どこでも、疲弊しているはずです。被災地救済も可能な限り協力したいのはやまやまですが。診療報酬改定で削られ続けた結果、疲弊した現場を立て直さねばならないでしょう(群馬県、公立病院、50代)

・通常、放射線を扱っている医療関係者、特に医師が過度の恐怖感をあおるような発言をしているが悲しい(埼玉県、その他、50代)

・西日本の先生方には、関心を持ち続けてもらいたい(千葉県、診療所、40代)

・一時的に被災地への医師派遣などの支援は必要ですが、むしろ医療の集約化で解決できることがあると思います。小さな病院を多数復活させるより、少数の大型病院を作るべきです。そうすれば、医療従事者を効率よく働かせることができ、医療従事者も楽となる。さらにドクタークラークなどを導入すれば、モデル病院ができる。医療従事者の災害地区への派遣も長期化することもなくなる。それでなくても医師不足で、一人でも派遣されるとつらい(千葉県、診療所、60代)

・被災地において、病院や、通所のリハビリ施設がなくなるなどの事態が起こり、廃用症候群となる高齢者が多くいました。また、多くの仮設住宅は、バリアが多く、屋外環境も外出をしにくいなど、リハビリテーションの視点からの環境整備のニーズがあります。仮設住宅のコミュニティーの問題も重要です。もともとの居住地域を考慮せずに抽選で入居している状況であるため、コミュニティーが形成されずに引きこもりの問題が出ています。南相馬の医療施設では、震災前のリハビリのマンパワーが回復されず、現在も困っています。職員募集をかけても、なかなか応募が来ない状況です。我々はリハビリ支援団体を立ち上げて活動(現地の医療・福祉施設や仮設住宅、在宅への直接支援活動や震災リハ支援に関する講演依頼に対応するなど)していますが、このような被災地の状況を多くの方に知っていただきくことが大変重要だと考えています(千葉県、公立病院、40代)

・余裕が有れば、ぜひ一度どのような状態かを見学に行くことを勧めます(東京都、大学病院、30代)

・もっと急性期医療や災害医療を勉強してほしい医師が多い。ある緩和ケア医師と話をしたらあまりにもずれていて閉口した(東京都、大学病院、40代)

・これからの復興へ向けた支援のあり方が、問われていると思う。被災地全域での医療従事者の減少を食い止めなければ、復興への側面支援にならない。継続的持続的な医療従事者の派遣が必要。現に、全国私立医大を中心に、各医大よりチームの派遣を行っています(東京都、診療所、60代)

・今でも津波被害を受けた大部分の地域は、全くといってよいほど復旧、復興がなされていません。そんな中でも、医療機関だけはその地域に必須のものとして、なんとか診療再開がなされているようです。しかし、元々医師をはじめとした医療者の不足している地域です。本当に息の長い、被災地以外からの支援を必要としていると思います。どんな形でも良いので、自分のできる支援を続けましょう(東京都、公立病院、50代)

・困ったときはお互いさまです。できる限り支援したいと思います。放射能に関する正しい知識を、一般の人にも説明する必要があるように思います。程度の低いマスコミの人気取りのような報道に振り回されている気がしています(富山県、公立病院、40代)

・まず各病院で震災シュミレーションを行うことだろう。避難訓練で構わない。その時に人の流れや、備品の不足など、不備が明らかとなり、実際の有事の際に役に立つことは間違いない。またBLSはもちろん、ACLSやPALSなど、一般的な救急対応に対する技術を各人が持って置くように日ごろ心がけることが大切であろう(静岡県、その他の公的病院、30代)

・被災地に限らず全国的に医師不足だと思うので、地元の患者が困らない程度に協力するのが良いと思います(三重県、民間病院、30代)

・専門家としての素早い対応が比較的機能したと思う(大阪府、診療所、50代)

・医療施設の不備が復興や住民の皆様が戻れない理由だとすれば、各個人ができる範囲でのボランティア活動を考えてほしい(島根県、公立病院、50代)

・我々の日常診療の上でも、なるべくムダを排除して医療費を減らしていくよう努力すべきだと思います(徳島県、診療所、40代)

・産業医活動は安易は気持でしないように。企業に進言できないなら引き受けない。非常用発電機が波がかぶるところに設置されていることに、企業に今まで意見したのかしてこなかったのか個人的には知りたい(愛媛県、民間病院、40代)

・現地の医療従事者、特に医師が西に流れている現状は情けないの一言である。今こそ医師が率先して、仁術者たるゆえんを国民に示すべき時ではないか(高知県、民間病院、50代)