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2011年9月26日 提供:共同通信社

 東日本大震災に関する厚生労働省の研究班は22日、宮城県石巻市の被災者の健康状態を調査した結果、回答者約1400人のうち睡眠障害が疑われる人の割合が40%を超えたと明らかにした。30%以上が「震災を思い出すと動揺する」などと回答、心の不安を訴える人も目立った。

 岩手、宮城、福島3県の被災者計2万~3万人を半年ごとに10年間追跡する調査の一環。6月下旬と8月下旬、石巻市雄勝と牡鹿両地区の18歳以上の3009人にアンケートや健康診断をし1399人から回答を得た。

 1日の平均睡眠時間や日中の眠気の有無など八つの設問への答えを数値化して睡眠障害を判定。42・2%に当たる590人に、睡眠障害が疑われるとの結果が出た。2002年の全国調査で睡眠障害が疑われた人の割合は28・5%で、被災者の睡眠は、一般の人よりも悪化しているという。

 震災の記憶を聞くと、37・0%が「思い出したくないのに、思い出したり夢に見る」、35・2%は「思い出すと、ひどく気持ちが動揺する」と回答。5・4%が「いつも神経過敏に感じる」と答えるなど、心の不安や抑うつ症状を訴える人も目立った。

 震災後の仕事の状況については、震災前に仕事をしていた886人のうち54・5%が「失業した」、21・3%が「収入が減った」と答えた。「転職など新しく仕事を始めた」とした人は5・5%にとどまった。

 研究班チームリーダーの辻一郎(つじ・いちろう)東北大教授(公衆衛生学)は「阪神大震災と違い、地域全体で生産手段を失ったのが今回の特徴」と指摘。「集団で暮らす避難所から仮設住宅に移り、孤立するようになればもっとプレッシャーがかかる。雇用確保など、より綿密な支援が必要だ」としている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/9/26/142125/