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2011年7月22日 提供:WIC REPORT(厚生政策情報センター)


提言-エビデンス創出を目指す検証的治療研究の推進・強化に向けて-(7/13)《日本学術会議》

 日本学術会議は7月13日に、「エビデンス創出を目指す検証的治療研究の推進・強化に向けて」と題する提言を公表した。これは、日本学術会議の臨床医学委員会・臨床研究分科会の意見を取りまとめたもの。

 検証的治療研究とは、「最良かつ安全な医療」を科学的に評価するために、研究者が仮設を立て、収集されたデータが仮設と一致するか否かを調べる臨床研究である。これらは主に大学等で行われているが、不採算部門であるため、研究の存続が「これまでにない困難に直面している」という(p8-p19参照)。そこで学術会議では、「わが国の医療研究をこれ以上衰退させてはならない」とし、(1)遂行可能性の高い治療研究グループの基盤強化によるモデル事業実施(2)検証的治療研究にかかわる競争的科学研究費のプロトコルに基づく選考(3)治療研究の科学的妥当性と被験者保護を担保するシステムの構築(4)人材育成(5)生体試料レポジトリーシステムの構築-の大きく5点について提言している(p20-p22参照)。

 エビデンスの質は、データの量によるところが大きい。そこで(1)では、臨床データを蓄積するために、多施設共同研究グループに公的研究費を優先的に配分することを提案し、まずモデル事業を展開することを求めている。また、研究を推進するには人材が不可欠である。そのため(4)では、治療研究に興味・能力をもつ医師研究者の育成や、統計学・疫学を継続的に所管する組織の構築、透明性・柔軟性を確保した研究費の運用などを求めている。具体的には、奨学金給付制度や、大学等での専任ポスト確保、臨床研究への参加を業績として評価することなどを例示している。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/22/139709/

P1-P28 1585_4_1.pdf (1.9M)

http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201107_4/1585_4_1.pdf