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2011年7月12日 提供:共同通信社

 政府が、国際協力機構(JICA)を通じ、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏が設立した財団と提携し、世界的にみても発生件数が多いパキスタンのポリオ(小児まひ)撲滅に向けた取り組みで円借款の活用を検討していることが11日、分かった。円借款では途上国の橋や道路といったインフラ整備中心に資金を貸し付けてきたが、保健分野の強化も進める。

 円借款は途上国向けの低利・長期のローンで、支援を受けた途上国は返済義務が生じる。パキスタンがポリオの罹患(りかん)率を下げるなど一定の条件を満たせば、ゲイツ財団がパキスタン政府の代わりに、日本に返済する仕組みを検討。代位弁済の条件となる、罹患率低下などの成果指標を協議している。

 ゲイツ財団と提携した円借款はパキスタン政府にとって、ポリオのワクチン投与の取り組みを推進する意欲が高まるほか、成果が出れば、ゲイツ財団が債務不履行のリスクを肩代わりすることになり、日本にもメリットがある。

 保健分野での円借款は、バングラデシュの妊産婦の死亡率を軽減させる取り組みでも検討。バングラデシュの一地方で実施してきた妊産婦の病院受け入れ体制の整備などについて、同国が全国展開することを支援する。

 日本政府はまた、来年10月に東京で開かれる国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会に関連し、保健分野の国際協力をテーマにした国際会議の開催を検討。途上国の医療問題の解決に向けて、日本などの制度を参考にできないか協議する。

https://www.m3.com/news/GENERAL/2011/07/12/139209/?portalId=mailmag&mm=MD110712_XXX&scd=0000336193