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全県民の被ばく影響調査へ 原発事故で福島県 200万人を長期追跡
2011年5月30日 提供:共同通信社

 福島第1原発事故を受け、福島県は27日、全県民を対象に健康調査を実施することを決めた。事故で放出された放射性物質の影響をめぐり、県民の健康管理や不安を解消することが目的で、事故後に県外に避難した人も含め、200万人余りを対象に一定期間、追跡調査する。

 実施期間は現時点では未定だが、放射線による健康への影響は長い年月を経てから出ることが考えられるため、長期間となる見通し。全員に聞き取りや問診票を郵送するなどして実施する。

 これとは別に、放射線量が高いなど特定の地域の住民に対しては、先行して6月末にも試験的な調査を実施。血液や尿を採取して放射性物質の健康への影響を詳細に分析した上で、今後の検査方法などを検討、対象範囲を広げる。

 一連の調査開始を前に、住民に東日本大震災が起きた3月11日以降の行動を記録してもらい、県内各地で測定された放射線量と照合し各個人が受けた線量を推定。健康管理や対策に役立てる。

 県は27日、福島市内で県民の健康調査に関する検討委員会を開催。被ばく医療の専門家のほか、経済産業省、厚生労働省などの担当者も出席し、全県民対象の調査を実施することで合意した。

 福島県立医大を中心に、広島大や長崎大など放射線の健康への影響に関し研究の蓄積を持つ研究機関がサポートする。

 同委員会座長の山下俊一(やました・しゅんいち)長崎大教授は「福島県民は直接的な放射線の影響だけでなく、精神的な影響などを被っている。調査は健康増進のためで、地域医療に貢献したい」としている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/05/30/137168/?portalId=mailmag&mm=MD110530_XXX&scd=0000336193

※【どこまでが大丈夫】という値は、放射線に関してはまったくの個体差があり、有為的な数値目標は本来ない。