一般医療ニュース
2011年3月25日 提供:共同通信社

 【解説】福島第1原発の復旧作業中に3人が高い線量の被ばくをして2人が病院に運ばれた事態は、東京電力の作業管理のずさんさをあらためて示した。

 事故沈静化の責任が一義的に東電にあることは間違いない。だからといって、個々の労働者の安全が脅かされることが許されるはずはない。治療が必要な被ばく事故を招いた東電はもちろん、監督している経済産業省原子力安全・保安院の責任も極めて重い。

 3人はタービン建屋の深さ15センチの水の中でケーブルの敷設を進めていた。表面で毎時約400ミリシーベルトという放射性物質に汚染された水に足を漬けたまま作業したとみられる。線量計は被ばくした足元ではなく胸につけていた。警報は20ミリシーベルトで鳴る設定だったが、聞こえなかったのか、作業を優先したのか。

 もしも知らない間に高線量の被ばくをしていたのであれば、173~180ミリシーベルトにとどまったのは偶然だったかもしれない。今回の事故では緊急時という判断で250ミリシーベルトという前例のない緩い基準が設けられたが、このようなずさんな管理では、それさえ超えてしまう恐れがある。

 法律では事業者に対して、放射線障害を防止するために作業を監督する主任者を選任し、安全を管理するよう義務付けている。事故対策の作業の中でそうした手続きがきちんと踏まれているのか。国は直ちに検証し、早急に改善を促す必要がある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/03/25/134388/?portalId=mailmag&mm=MD110325_XXX&scd=0000336193