一般医療ニュース

2010年7月14日 提供:共同通信社

 日差しがまぶしい夏休みは子どもたちの外出機会も増える。肌へのダメージが大きい紫外線(UV)への対策を講じ、子どもたちをUVから守ってあげよう。

 ▽目に見えず

 日焼けは紫外線によるやけどだ。ダメージを受けた皮膚の細胞は傷ついたDNAを修復しようとするが、長年浴び続けると修復機能が狂って、しみや腫瘍(しゅよう)の原因となる。特に成長期の子どもは細胞分裂が盛んで影響を受けやすいという。

 同志社大の市橋正光(いちはし・まさみつ)教授(皮膚科学)は「紫外線のダメージは目に見えない形で何十年と長く蓄積されるため厄介だ」と警告する。免疫機能の低下や白内障の原因ともされ、世界保健機関(WHO)も生涯受ける紫外線量の大半は18歳までに浴びると指摘、子どものUV対策を推奨している。

 UV対策ではまず、紫外線量が増える正午前後の外出を避けよう。やむを得ず外出する際には日陰を通り、つばの長い帽子や長袖シャツを着用。日焼け止めクリームも活用し、気象庁がネットで提供する紫外線量予測も参考にしたい。

 ▽エポカル

 UV対策専門の衣料ブランド「エポカル」は、子ども向けを中心に帽子やウエアなど約200種類を展開している。

 UVを反射させる特殊セラミックを含む機能素材を使用。吸収剤を吹き付けただけの「UVカット加工」製品とは異なり、何度洗っても防止効果が落ちない。エポカルを展開する「ピーカブー」は、アトピー性皮膚炎を患う子の母親たちが8年前に設立した。

 通気性を保つため局所にメッシュを配したり、首回りの襟を高くしたりと育児を経験した母親目線の工夫が特長だ。同社の松成紀公子(まつなり・きくこ)社長は「暑さを嫌う子どもがどれだけ快適性を実感できるかが重要」と強調する。

 ▽意識改革

 育児期間中はUV対策に親の目が届くが、通園・通学となると施設側の管理に委ねるしかなくなる。日本臨床皮膚科医会は2008年度と09年度に全国の保育園や小中学校(336施設)を対象にUV対策に関するアンケートを実施した。

 対策が最も必要とされるプールの授業では、日焼け止めクリームの使用を許可しているのは46%。一方、紫外線の強い時間帯を避けて授業を実施しているのは21%と低く、環境省の「紫外線環境保健マニュアル」を活用している施設は4%にとどまった。

 同医会の岡村理栄子(おかむら・りえこ)医師は「日焼け止めクリームによってプールの水が汚染されるとの誤解も多い。紫外線の危険性を周知させる学校での保健教育も不可欠だ」と指摘する。同医会は、全国の小中学校向けにUV対策のガイドライン(指針)を策定中で学校側に意識改革を促していく考えだ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/07/14/122827/?Mg=6a2a8d7070feed4a938494a31a08af88&Eml=84efd35f72e1ddac427f95699de9f9d8&F=h&portalId=mailmag&mm=MD100714_XXX