同業者が70人以上も集まったオフ会の話のあとではありますが。

この仕事を20年も続けていると、やめていく仲間も数多く見ています。やめると宣言する人、フェードアウトしていく人、仕事の内容が合わない、仕事のスタイルが合わない、家庭の事情などで続けるのが難しい…。やめ方も理由もさまざま。


仕事を始めた頃は、翻訳のスピードと質が追いつかなかったり、安い仕事ばかりだったり、理不尽な思いをすることもあったり。理想と現実の差に失望することも。早々に見切りをつける人が多いですが、キャリアを積んでからも、第一線で活躍する人でも、やめる人はいます。


私も第2子を産んだ時に「このままフェードアウトしてもいいかな」と思ったし、映像翻訳の仕事が半年くらい空いて、他の仕事を探してみた時期もありました。探してみたら、できることも他にやりたいこともなくて、やっぱり字幕の仕事がいいと気付いたという・・・。

やめないのは、やめる理由がないから、他にできることがないから。

この仕事が大好きで向いていると思うし、ずっと続けたいけれど、何が何でも絶対に・・・という強い気持ちはなくなりました。

だいぶ前までは「しがみついてでも続ける!」と意気込んでいましたが、同業の友人に「そんなに気負わなくても、仕事があるうちは続けようかなくらいでいいんじゃない」と言われたのが、すごく響いたんです。その考え方を取り入れるようになったら、ずいぶん気がラクになりました。

執着してしまうと視野が狭くなってしまうけれど、いつでも手放す覚悟でいると、広く見渡せて自分の立ち位置を客観的に見られる気がします。


何を言いたいかと言うと、映像翻訳の仕事をやめるのも、そのくらいの気軽さでいいと思うんです。やめる時は挫折のように感じる人もいるかもしれないけれど、1つのことをやめることは他の道に進むスタートでもある。もっと合う仕事に出会えるきっかけにもなります。長い目で見たら、話のネタが1つ増えたくらいのことかもしれない。それに、やっぱりやりたいと思ったら、しれっと戻ってくればいい。

映像翻訳はすばらしい仕事だけれど、自分が自信を持てる仕事が何よりもすばらしい。

ふと、そんなことを伝えたくなったのでした。


写真は早めのバースデー祝いにいただいたお花。いつもありがとう♡