前回の続き。


4週間後、息子は審判で保護観察処分となった。

保護司さんも決まり、今までの交友関係は断ち仕事を見つけることを最優先に、自分は自分はと自分を押し付けず、彼女を労わりながら暮らしていく。

そう話したものの、最低限のことなのに息子にはこれがなかなか難しい。

自分のことで精一杯だと、彼女を思いやるまで気持ちのゆとりが持てない。

それでも若さが良い意味でカバーしてくれて、思いやることは出来なくても、2人の時間にはちゃんと楽しい時間として過ごしていたようだった。


未成年の2人が赤ちゃんを産むことで、色んなことを調べた。

特に彼女の家庭環境のことがあるため、彼女が困らないよう、未成年の出産について念入りに調べたり、市の保健師さんにも相談して、彼女に当てはまるケースを引き出してみた。


通常、出産すると所得にもよるけど児童手当が受給できる。

だけど、母親が未成年かつ未婚の場合、赤ちゃんの親権者は赤ちゃんの母親の親権者になってしまう。

そうなると児童手当を受給するのは親権者にあたる祖母(彼女の母親)なのだ。


それでなくても彼女の母親は彼女からお金を奪おうということしか考えていないのに、そんなところに児童手当が入り、さらに娘が未婚で出産したと知ったら、また生活保護を受けさせるため何をしてくるかわからない。


それを避けるためと、彼女に安心して出産してもらいたいという気持ちと、息子にしっかり責任感を持たせるため「胎児認知」の手続きをした。


これにより、出産する前からお腹の赤ちゃんの父親が息子だと認知したことになる。

産後、まだすぐには入籍できない2人だけど、それでも戸籍上の父親はちゃんと息子なのだ。


そして何より、この手続きをしていることと、我が家で一緒に暮らして療育しているということで、息子の父親になるラン君が赤ちゃんの児童手当を請求することが出来るらしい。


なので、ラン君の通帳にうちの三女と孫になる赤ちゃんとの2人分が振り込まれることになる。


そして息子が18歳になり入籍するか、万が一、何かあって入籍しなかったとしても彼女が18歳になったら請求者の変更だったか請求権の変更だったか、そんな手続きをとれば息子なり彼女に請求権がうつる。


これで私たちが代わりに受給し、彼女に渡してあげることが出来る。


また出産に関して、保健師さんの方から「助産制度」を利用してはどうかとアドバイスがあった。

助産制度は生活保護世帯や非課税世帯などで出産費用に困っていて、助産施設を利用して出産する場合に利用できる。


(当時の助産制度と今現在ではもしかすると制度の内容が少し違うかもしれないので、詳細は載せないでおきます)


彼女が通院していた産婦人科もこの助産施設になっていたので、全ての条件をクリアしてこの制度を利用できることになった。


これで出産にかかる費用など、軽減されることも早い段階でわかり、少しは気持ちを楽を持てたら良いなと思った。


そして息子の就職が決まった。

総合病院の厨房で調理補助。

バイトではなく就職ということで、社会保険にも加入してもらえることになったし、続くかどうかの不安は常にあったけど、それでも働き方が決まったという一歩が一安心だった。