小冊子を読み返していたら

「即行」のすすめ


というページが有りました。
「即行」
とは文字どおり、すぐ行う、即座に実行することを言います。
何かに気がついたとき、ピンとひらめいたとき、間髪入れず、すぐに行動に移すのです。
〈玄関の靴が乱れているな〉と気づいたならば
すぐに揃える。
床に落ちているゴミが目にとまったら、サッと拾ってくずかごに捨てる。
〈今日はいつもより冷え込むなあ〉
と感じたら、すかさず一枚重ね着をする。
電車の中で、フッとアイディアがひらめいたら、さっそく手帳にメモをとる。
「何だ、そんな簡単なことか」
と思われるかもしれません。
ところが、これが案外難しいのです。
と言いますのは、気づくと同時に、雑念も入り込んでくるからです。

確かに目で見たり、耳で聞いたり、ふと思いついたりして、さまざまな気づきはある。
でも、その気づきをそのまま実行しているかというと、実態はどうでしょうか。


気づきと行動の間に、一瞬「間」
がある。
この間隙に、実践を逡巡し、先延ばしするような雑念(怠け心)が発生して、結局は躊躇してしまいます。


別に誰かに迷惑をかけるわけではないので、大したことではないと思うでしょう。
ところが、気づいていながら、横着をきめこんでいると、生活や仕事の流れが滞り、澱んできます。
そうなると、血流の停滞がいろいろの病気を引き起こすように、家のことも、仕事も商売もうまくいかなくなってくるのです。
しだいに勘が鈍ってきて、今すべきことに気づかないばかりか、肝心なときにも直感がひらめかない。
判断・決断は外れ、みすみすチャンスを取り逃がしてしまいます。


ほんとうに「気づき」
とは不思議な現象です。

あるとき突然心に浮かんだり、脳裏にひらめいたりします。
何の脈絡もないようですが、とんとん拍子に事が運んだときなど、何か目に見えない大きな力とのつながりを感じます。


〈まだ早い〉
と思うときが、実はちょうど良いとき。
グッドタイミング。
天の時だったのです。


気づいたらすぐするというのは、ほんの日常の些細な実践ですが、人生の成功や幸福と無関係ではありません。
成功者は即行の達人であり、健康な人は即行の見本です。
運もツキも、即行の磁力が引き寄せているのです。
気がついたら、ちょっとの間もおかずにすぐ実行。
ためらいなく、躊躇なく、気軽に、進んで、サッと処理。
即行は生活のリズム、仕事のテンポであり、幸運のパスポートです。


丸本征雄(倫理研究所参与)