「お父さん、ギターでも始めたら？」娘の一言で、なみだ涙の・・大津わにセンタークラシックギター教室

滋賀県大津市の各種楽器レッスン＆音楽教室・トリイ大津わにセンターです。

大人の教室は、皆さまそれぞれの音楽を、それぞれのペースで楽しんでいらっしゃいます。時にはドラマのような体験談をお聞きするすることがあるんです。今日は、クラシックギター教室にお通いの男性から、こんな心に沁みる話をうかがいました。

～～～ここから

私は、定年後にすることが何かないかと探していた。

そうでもしないと、昼間から酒びたりになるかもしれない。何か趣味は必要だ。
囲碁や将棋なら心得がある。探せば近所にも出来るところがあるだろう。

そんなある日、2か月後に結婚をひかえた娘が、なんとギターをプレゼントしてくれたのだ。

「お父さん、ギターでも始めたら？」

まもなく巣立っていく娘は、こんな私を心配してくれたのかもしれない。

ギターか・・・。音楽も良いかもしれないな。
ただ、囲碁や将棋の選択肢はなくなったが・・・。

音楽は子供の頃から好きだった。歌うことが大好きだった。

童謡や唱歌。フォークソングにグループサウンズ。
英語はわからなくてもカーペンターズの『イエスタデー・ワンスモア』
イタリアのカンツォーネにも惹かれるものがある。

そう言えば、親父もＮＨＫの”のどじまん大会”にでるくらい歌が好きだった。
あるいは私も親父に似たのかもしれない。

・・・ふと、思いついた。

例えば、ギターを弾きながら歌ったら楽しいのではないか。

そうだ！どうせやるなら、娘の結婚披露宴で、それにふさわしい曲を弾き歌ってやろう。

曲はすぐに決まった。長渕剛の『乾杯』だ！
思い立ったがなんとやら、すぐに佐々木先生のもとを訪ねた。

今から思えば、きっと佐々木先生を困らせたと思う。

なぜなら、それまでギターの弦の数が、5本なのか6本なのかも知らない初心者が、披露宴まで2カ月しかないのに、何とかしてくれと押しかけたのだから。

けれど、たとえ「ジャラン、ジャラン」だけの簡単な伴奏でもいいから教えて欲しいと無理を承知で頼み込んだ。

私は、どうしても娘の結婚式に、カラオケじゃない『生の演奏』で歌ってあげたかったのだ。

2カ月間の特訓の後、披露宴当日を迎えた。

この日まで、誰にも知らせなかったので当然披露宴会場は、一体何事かとざわついた。
このサプライズには、娘も新郎も、新郎のご家族もえらく驚いた。ここまでは私の予定通りだ。

会場全体もはじめは「シーン」やがて、「ザワザワ」となった。ここで、急に「カーーッ」と熱くなる。まずい！緊張してきた。それでも、練習してきたことを思い出し、ひとつひとつ丁寧に心を込めて演奏した。

・・・自己採点は６０点だ。それでも我ながら上出来だったと思う。

演奏が終わった途端、会場からは拍手喝采。

するとホッとしたのだろうか？なんだかこみ上げるものがあり、頬をつたうものに気づいた。

ボロボロと泣けてきた。泣けてきたのだ。

娘婿が、「お父さんギター弾けるんですか！」と大変驚いてくれた。新郎のご家族も大変喜んでくださった。

その後、ギターは大いに意味のある趣味となった。今年は、これまた人前で、ゆずの「栄光の架橋」を弾き歌いした。なんと私の演奏に涙腺をゆるめる方もおられ、こちらも驚いたが、少しでも私の趣味が人のお役に立てるなら嬉しいと感じた。