ハンナがなぜ野良犬生活をするハメになってしまったのかは知る由もないのですが、

中途採用の成犬の場合、どんな飼われ方をしていたかは行動の端々からうかがわれます。

残念ながら、悲しく辛い体験を思わせる場合も多々あるわけですが、

ハンナの場合、そこまで過酷な体験はなかったようでした。

 

観察してみると、

人の食事にまったく興味を示さない。

散歩中に足に絡んだリードをヒョイと外す。

人と一緒に布団で寝ることはしない。といったことから、

ハンナは外につながれて飼われていたんだろうなと想像することができました。

 

体に触れられることも最初のうちはかなり警戒していて、

抱き寄せたりすると、

ハ)ヴー!

と飛びのいたりしていましたから、

恐らくあまりちやほやと可愛がられたりはしていない、

ごくフツーの田舎の外飼い犬だったのでしょう。

 

さて、問題の5日目は日曜日。

夕飯は久々にワハ父の好物であるジンギスカン。と言ってもジンギスカン鍋がないので、

キャンプ用の七輪に炭を起こしてラムの焼肉とあいなりました。

ジュウジュウと肉を焼いていると、ワンスケはもちろん物欲しげにスタンバイ。

元・外犬ハンナはこのときも姿を消していました。

母)ハンナ~?

どこにいるのかと一応様子を見に行くと、寝室にしている部屋の隅っこで

座り込んでいました。なんだか震えているように見え、

母)寒いの?やだなぁ・・・どうした?

ちょっと不思議に思ったものの、私は食事に戻ったのでした。

さて、食事を終えてトイレ散歩に連れ出そうとしたところ、

ハンナさん、なんと腰が抜けていて動けないのです。

母)えっ、どうしちゃったの?

寝室から出るには、さっきまで私たちが焼肉をしていたテーブルの脇を

通らなければならないのですが、いくら呼んでもそこを通ることができません。

尻尾を丸めておびえています。

母)煙が怖いんだ・・・

私たちの食事中、ずっと恐怖に震えていたのかと思うと胸が詰まりました。

首輪とリードをつけてなんとか部屋から引っ張り出し、

外に出たら尻尾も上がりましたが、部屋に戻って焼肉の香りに気付くと、

また尻尾を下げて心配そうな表情。テーブルのそばには全く近寄れないのです。

野良犬をしていた時期に身に付けた危険回避本能か、

はたまた火事にでも遭ったことがあるのか・・・。

ワ)何だよ何だよ、いい匂いだな、おっ、焼肉か?

なぁ~んてのんきなお坊ちゃん育ちとはワケが違う。

母)ハンナさん、何があったの?怖い目に遭ったのかねぇ?

枯れ木の山に巣穴を作って子育てをしていたときは、

除草剤を撒きに来た作業のおじさんにワンワン吠え掛かっていたとKさんから聞きました。

体を張って仔犬たちを守ろうとしていたハンナ母さん。健気じゃぁありませんか。

もう怖いことはないんだよ、安心して暮らしなさいねとねぎらってあげたくなったのでした。

 

この恐怖の焼肉事件、その後新たな事実が徐々に明らかになっていきました。

それまでフライパンで肉を焼いてもそんな過剰な反応はなかったので、

炭火の煙が怖いのだと思っていたら、違ったのです。

怖いのは「羊の肉が焼ける匂い」。

たまたまフライパンで羊肉を焼いたら・・・、様子を見に来たハンナ、窓の外を見たり、

クンクンと鼻をひくつかせたり。もちろん尻尾は下がっていて心配そうな冴えない表情。

いっぽう、炭火で牛肉や豚肉、鶏肉を焼いても平気なのです。

あくまでも「羊の肉が焼ける匂い」、これがトラウマのようです。

いったい彼女に何があったのでしょうか?

牧羊犬になり損なって羊の群れに襲われたとか?まさかねぇ?

 

ワハ父の好物で、時々羊肉が献立に登場するため、

さすがに最初のように腰を抜かすことはなくなりましたが、

それでも相変わらず心配そうに様子を見に来るハンナに、

ある日焼いた羊肉を差し出してみました。

この匂いにどんな反応を示すのかと・・・。

母)はい

ハ)パクッ!

母)食べるんかいっ?

ハ)オイシイレス。オカワリクラサイ。

母)た、食べるのね・・・

やっぱりハンナはトンチンカンな犬なのでした。

(続く)

 

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