それは日の傾いた茜の甍よりやってきた。
西の風を纏いし旅人
燃えたぎる杖を片手に、生臭い悪鬼を振りはらいながら
颯爽と
それは温かなる潮の渦よりやってきた。
南の風を纏いし旅人
白く冷たい秤を頭上に、規律と均等を寸分の狂いなく守りながら
颯爽と
それは無口な崖の切れ目からやってきた
東の風を纏いし旅人
揺るがぬ意志を腰縄に携え、一歩踏み出すごとに大地に痕を刻みながら
颯爽と
それは静かなる菩提樹の袂よりやってきた
北の風を纏いし旅人
全ての業を指先で受け止め、何に一つ役に立たぬ真実を無情に説きながら
颯爽と
いよいよ精神の時代に入った
汚れたまった脂肪と、欲の芯を爪先で押しだし
真実を見る目を爛々とし
己の価値を捨てて己の価値に気付く時
魂の成熟を成す時
さあ、私はどんな風になろう
