深度23
「シネマ・シネマ・シネマ②」の巻
今回は、コーエン兄弟の傑作「ノーカントリー」~・・・・
今年の一月、おいらは仕事でテキサス州にきていた。乾いた大地と果てしない空。オバマフィーバーが巻き起こっていた時期にも関わらず、さすがジョージ・ブッシュのお膝元、オバマの首フリ人形くらいさえ見かけなかった。
ホテルから程近いファミリーレストランで朝食を摂る。なぜか黒人しかいない。どちらかというと、そんな中一人で東洋人が飯食ってるほうが不思議な光景。けっこうじろじろ見られる。でもコーヒーはすこぶる旨かった。
ニューメキシコに程近いこの場所。車で2時間も行けば・・・そう、「ノーカントリー」の舞台だ。
3D映画しか客が入らないといわれているエンターバカテイメントな状況下で、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンの存在は、アメリカンシネマ、最後の砦といえよう。
「ノーカントリー」はどうしても、おかっぱ頭のハビエル・バルデムの怪演や、トミー・リー・ジョーンズの渋い演技に目が行きがちだが、おいらの思う素晴らしさは・・・・・・・シンプルさ!!!この一言に尽きる。
基本的なカット割り、シンプルなカット編集。映画の演出を目指す人ならば、カットごとに絵コンテに起こしてみるといい。書き終わるまでに、映画の基本的編集術・演出術をマスターできてしまう。それくらいに、映画の正しい作り方的映画。しかし、中にはブルッとするほど素敵な実験も多数行われている。
例をひとつあげれば、警官が絞殺された前後だったかな・・・ふかん(真下に見下ろしたカメラアングル)が3カット連続で繋がっているシーンがあった。「あー成立するんだ!!」って驚いた。しかもカッコイイつなぎ!!
なんといってもテキサスは乾いた空気がフィルムに感じられるのがいい。「パリテキサス」でもあの、煮え切らないイライラしてくるおっさんが、とぼとぼ歩いているのが、とてもしっくりきている。空気の乾きは人の乾きに繋がる。そしてドラマや人生を醸し出す。
空気の大切さでいえば、おいらがデンバーを訪れたときも感じた。キューブリック監督の傑作「シャイニング」の舞台になったホテルが繁華街のど真ん中にあった。
※「シャイニング」の舞台となったホテルは外観だけ山頂にあるホテルで撮影。内観はデンバー市内の古ホテルで撮影されたらしい。
古い古いホテル。妙な迫力がある。ホテルにこっそり入って、あの恐ろしい赤い絨毯の通路や、狂った父ちゃんがボールをぶつけて一人でキャッチボールをしていた大きなロビーを見に行ってやろうと思ったが、「ホントウニ、デル」と聞いてしり込みしてしまった(おいら敏感な方だし)
おいらが訪れた12月は、デンバーの気温はマイナス16℃。キンと冷えて、人もどことなく暗い。凍え死んじゃうから浮浪者の姿も見かけない。ここは本当にアメリカか?と思うほどの空気感。なるほど「シャイニング」の空気だと思った。
邦画は日本の風土らしく、じめじめとした湿気を感じる。それがオカルト映画を怖く見せている要因ではないか。
アメリカでも湿気は恐怖の表現で使われる。「セブン」でも「エンゼルハート」でも湿気は画面を怖くした。
あれ?「ノーカントリー」から随分それちゃった。まぁ、いいや。だいたい映画の話だと思ってください。
「イースタン・プロミス」もよかったな!クローネンバーグ起死回生の作品!ロシア語訛りの英語の恐ろしいこと!
言葉も映画の空気を掌る。だって、山田洋二監督の映画「息子」や「隠し剣鬼の爪」も東北弁でやられたもの。あれ標準語だったらうんざりだよね。言葉も大切。イタリア語のセリフを聞くだけでなんだか性的興奮を感じるおいらは、ちょっと病気?おいらが悪いわけではない!ティント・ブラスがエロすぎるんだ![]()
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