旦那と日本酒をちびちびやる夜があった。


夜更けの晩酌。


彼は珍しくいつもより小さなお猪口を選んでいた。


瓶から直接お猪口に注ぐ。


蕎麦チップスをポリポリ食べてお酒もすすむ。


お猪口が空くとまた注いで


ポリポリ食べてまた注いで


小さなお猪口は活躍していた。


「おっとっと」と私が言うと溢れる事なく瓶から注ぐ旦那。


時にはワイングラスで飲む日本酒もいいかもしれない。


けれどお猪口を差し出すと酒が注がれ


ちびちび飲んでその都度注いで会話する。


ニクイ文化ではないか。


ほろ酔い気分で私は得意げにお酌ってスバラシイ


日本の美しい所作のひとつではないかと熱弁していた。


いい気分になった私は蕎麦チップスをポリポリ食べながらついさっき歯磨きしたのを思い出し愕然とした。