得意げに仁王立ちしているであろう季節外れの蚊は天井にいた。


掃除機で躊躇なく一発で仕留め、わたしと旦那は安眠を取り戻す。


安らぎを噛み締めながら目を閉じると大谷がいた。


大谷翔平だ。


大谷は黒いタートルネックのセーターを着てピアノを弾いている。


弾けるんだ、ピアノ。


わたしは感心して聴いていた。


すると彼はTシャツにサインをし始める。


このリサイタルに来てくれた人へのプレゼントだという。


3枚目にサインした手が止まりパッと隠す。


女性の名前を書いていた。


ザワザワと会場がザワつく。


「どうしたんでしょう」


わたしは後ろにいた男性に話しかける。


「彼が怪我で休場してた3ヶ月の間、看病していた人の妹さんの名前だよ。その人と付き合ってたから」


男はなんでも知っているかのようにスラスラと答えた。


「そっか、好きな人いてよかった」


そこでわたしは目が覚めた。


夢か。


なんじゃこの夢。