ブーンに負けた。


そう確信したのは5分ほど経過した頃だった。


懐中電灯を持ち出して


天井から壁へライトを照らしベッドの下まで覗き込む。


すみからすみまで隈なく照らす。


いない。


もうどこかへ逃げたのかもしれない。


もしかしたらさっき神業的に仕留めたのかも。


季節外れの蚊取り線香は持っていない。


パロサントは虫除けになるのだろうか。


思考はぼやけている。


猛烈に眠い。


電気を消してもう寝よう。


この時、明日の夜もブーンに悩まされるとは知る由もなかった。


隣を見ると旦那はスヤスヤだ。


気持ちよさそうに寝息を立てている。


羨ましい。


いい夢見ろよ。