期待とは儚く、時には泡のように消え、そして時には思いもよらぬタイミングで訪れるもの。
本の間に忍ばせてある例の手紙。
本好きの旦那のことだ、きっとすぐに気付くはずと淡い期待を持ち続けていた。
その日はずっとワクワクしていたが、ワクワクだってそう長く心の中に居てくれない。
すっかり夜になってしまった。
少女のような甘い期待は泡のように消え、不安という名のモヤモヤ大王が出てきた。
LINEで荷物の中を確認してみてと遠隔操作を試みるが無理だった。
起き上がるのにお腹に力が入らないのだ。
翌日、新しい荷物と本を持って病院へ行く。
旦那の洗濯物をピックアップし家路に着く。
私は洗濯機にいつもより荒々しく洗濯物をバッバッと入れていた。
するとぎゅっと丸まった衣類のすき間からヒラ〜っと何かが落ちてきた。
手紙だ。
しかも私が忍ばせた手紙の封筒だ。
返事を書いてくれたんだと一点の曇りも疑念もなく踊る気持ちを抑えきれず封筒の中を見た。
空だった。