旦那の代わりに1.5mの小腸に供養しお別れをする。

0時5分
ひょろっとした人のよさそうなモヤシ男が私を呼びにきた。

「旦那さん、目が覚めましたよ」

コロナ禍で面会はできないかもしれないと言っていた。

会えないなんて冗談じゃないと懸念していたが許可が下りてホッとした。

ICUに案内される。

ICUって・・・

集中治療室に入るほど深刻な状態なのかと入るのに二の足を踏む。

恐る恐る顔を近づけると管につながれた旦那が目を閉じていた。

赤、緑、黄色に青。

いったい何本の管が彼をつないでいるのだろう。

手術し終えた身体はブルブルと震えている。

歯をカチカチ鳴らしているほど寒がっていた。

「全身麻酔をした後は血管が縮んで寒気がするんですよ。特に腸の手術はね。よくある反応です」

私の不安をよそに主治医の乾電池がにっこりしながら登場だ。

「お腹の中は綺麗にしましたから」

何度もそう言っていた。

「明日からガンガン歩くよう言ってください」

え。ガンガン?もう歩けるの?

「1週間で退院した患者いますから」

え。1週間?もう退院の話?

乾電池はけろりと言ってのけた。