こんにちは、個別指導Wam香川鶴市校教室長の内海章雄です。

最近のニュースを見ていると、コロナ関連をはじめ、硫酸事件やアフガンテロなどの暗い話題が多いのですが、つい先日見つけた記事を紹介します。


それは、第73回「正倉院展」が10月30日~11月15日に開催される、というもの。


「正倉院展」は奈良国立博物館が主催し、奈良時代に建立された東大寺の倉庫である「正倉院」に納められていた聖武天皇遺愛の品々を中心とする約9000件の宝物の中から、毎年60件ほどを選び公開する展覧会。
歴史の授業で習った「正倉院」に、9000もの“お宝”が納められていたことに驚いたのですが、約1300年も昔の品々が綺麗なまま残されてきた事実にも感動します。

 


今回公開されるのは初出陳8件を含む55件ですが、このうち、円い胴の絃(げん)楽器「螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)」は奈良博では25年ぶり、蓮華(れんげ)形の香炉台「漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)」は28年ぶりの公開なので、もちろん自分が生きているうちに全ての宝物を見ることは叶わないのですが、やはり一度は間近で見てみたいと思うのです。


とはいえ、コロナ禍の現状、時間や距離の問題もあり今年も行けないな、と思いながらホームページの展示画像を眺めていたのですが、いつの間にか「○○さんは吹奏楽部だから、こういう楽器に興味ありそう」「○○くんは愛染明王とか十二神将みたいな、力強くてカッコいいのが好きそうだな」と、塾生だったらどの宝物が好きそうか?という視点で見ていました。


そう思ってあらためて見てみると、同じ品でも興味の対象は一人ひとり違うと思います。

例えば「螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)」は、いわゆる琵琶(びわ)という弦楽器なのですが、「どんな音がするんだろう」という実用部分の興味を惹かれる場合と、鮮やかに施された装飾など美術品としての視点で見る場合もあるでしょう。
私の場合は、今回宮内庁正倉院事務所で本格的な調査が行われた筆をはじめ、墨・硯すずり・紙といった文房具がまとまった点数出陳されることにも注目していて、特に筆については、重さとか材質、持った時の感触に書き味まで色々と想像を掻き立てられます。実際はほぼ全てが国宝級のお宝ですから、墨をつけて文字を書くどころか触れることもできませんが。

 



「学校で習っていないから知らない」
「教科書に載っていなかったからわからない」
 

子どもたちから時々、こういう声を聞くことがあるのですが、「習っていないから」あるいは「教科書に載っていないから」こそ「知りたい」「理解したい」「体験してみたい」という純粋な気持ちが、勉強の原点だといえます。


習っていないことを知っていて怒られることはまずありません。大切なのは、何かを見たり聞いたり情報として知った時、どう感じて、どこに興味を持ったのか、さらにその興味に対してどうしたいと思ったのかを自問し、どのような行動に移せるかどうかだと思います。実際、新学習指導要領の中で児童・生徒に求める力がまさにこれであり、今後の受験や就職、仕事などあらゆる場面においても有効だといえるでしょう。


今回の「正倉院展」は、それこそ学校で習う範囲の先にあるマニアックな領域であると言えます。しかしながら、興味の対象の違いは個性の発掘にもつながります。

朝日新聞の記事によると、今回の出陳の一つに「笛吹(ふえふきの)襪(しとうず)」というものがあるそうです。これは舞楽装束の一つで、今の靴下にあたるものですが、宮内庁正倉院事務所が完成させたその模造品もあわせて出陳されます。
模造品つまりレプリカなのですが、生地は、2001年度に織物会社「川島織物セルコン」(京都市)が織った絹織物「紫地花文錦(むらさきじかもんのにしき)」が使われています。この絹織物は、皇居内の紅葉山御養蚕所で育てられた日本産種の小石丸繭から得た絹糸などを使い、皇居内に自生していた株から育てた日本茜(あかね)などを染料にして染めたもので、この生地をもとに染織文化財の修理を手がける「染技連(せんぎれん)」が制作したということです。


これは「素材から製法まで、当時のものをどこまで正確に再現できるか」という思いが原動力になっています。数々の美しい写真を見ているうちに「こんな綺麗な写真を撮りたい」と撮影技術に興味を持つかもしれませんし、「これだけの宝物を後世に残した正倉院の『校倉造』はすごいな」という気持ちから、建築について興味を持つ子もいるでしょう。こういった興味の視点は、子どもたち一人ひとりの可能性を広げるきっかけの1つになり得るはずです。

 


奈良国立博物館のホームページには、3D展示のコーナーもあって楽しめるのですが、パソコンに興味がある子なら、もしかすると私のように見に行きたくてもなかなか現地に足を運ぶことができない人のために、よりリアルなバーチャル博物館のシステム開発に目覚めるかもしれませんね。歴史的遺産と最新技術、過去と現在・未来はつながっているからこそワクワクさせられるのかもしれません。


ふとした興味は、視点の違いこそあれ「活きた学習」のきっかけだと思うのです。
夏休みに出歩けなかったご家庭が多いと思いますが、インターネットが発達した現代だからこそ、家族でこういったホームページをのぞいてみて、どこに興味を持ったのか、そこからどんなイメージが浮かんだかなど話してみてはいかがでしょうか。


奈良国立博物館HP





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