ベジータは待っていた。
北の高地で。
約束の時間ははるかに過ぎていたが
例の男はいつまでたっても現れなかった。
ベジータは腕を組み指先を小刻みに動かしてはいたが
その動作にも飽きたのかとつぜんとびあがると
周囲の岩山をぼこばこと殴り始めた。

「くっそぉー、
何で俺様があいつを待たないといけないんだ!
俺は戦闘民族サイヤ人の王子
ベジータだぞー!」

そうだ。
彼は王子である。
いくつになっても王子である。
誇り高いサイヤ人の王子である。
子どもがどんなに大きくなっても
実年齢がおっさんになっていても王子である。

「パパ。そのユニフォームはやめてよ。」

ふとでがけに言われた娘の一言が思い出された。

「・・・ユ・ユニフォームだと?」

ベジータは思わず娘の顔をみた。
「そうよ。
その青い総タイツ。
それってダサいと思う。」
「な、なにおっ」
「今コスプレにいってもそんなかっこした奴いないわ。
今のヒーローもっとファッショナブルなのよ。
青いタイツに白いブーツと手袋なんて
歯磨きチューブじゃあるまいし。」

思い出すとどんどん腹が立ってくる。
これがトランクスなら、いや悟飯なら
地球の裏側までぶっ飛ばすベジータだが
なぜか娘には返す言葉がないのだった。

この肉体美があるからこそ
この戦闘服は着こなせるんだ。
なぜそれがわからん・・・・!!

「よぉっ、ベジータ♪」
「貴、貴様!」

後ろにとつぜん奴の気配。
グッドタイミングX100!

ベジータはまってましたとばかり
ふっとからだの向きを変えると
大きな一発をカカロットの腹に打ち込んだ。

「いてててて!」
「き、貴様、待たせやがって!
おそいじゃないか!」
「ひでーな、ベジータ。」
「悪いのは貴様だ。
俺をこんなに待たせるなんて
貴様どういう了見だ!」
「なんだよ。
1時間遅れただけじゃねえか。」
「貴様時計のみかたもわからんのか!
目を開けてしっかり見ろ。」
「・・・っておめえがいきなり殴るから
壊れちゃったぜ。
またチチに怒られる。」
「はっは!
ざまあみろ」

カカロットは普段の胴着姿であった。

「わリィ、
ちっと腹減っちまっててよ。」
「腹がへってただと?
それが遅れた理由か?
まさか飯を食ってたというのか?
おれさまがきっちり時間通りに
ここに来ていたというのに!!」
「だってさ。
チチの飯はうめえから
…ついな。」

良く見れば道着の胸の辺りに
無数の米粒がついている。

…がきか、こいつは!

無性にむかつくベジータであった。

「何杯食ってたんだ?」
「え」
「飯だ」

カカロットは指を折りながら数えるふりをした。

「…わかんねえ!」
「やっぱり貴様はくそやろうだ。」
「おめえにかかった誰だってくそやろうだぜ。」

カカロットはげらげら笑った。
ベジータはいらいらしながら手を出した。

「…さっさと渡せ。」
「え?」
「例のものだ」
「あ」

カカロットは一瞬目を白黒した。
明らかに何か思い出そうとしている様子に見えた。

「まさか忘れたとはいわないだろうな」
「へへ」
「貴、貴様…」
「おっ?」

カカロットはなんだか嬉しそうににやつく。
狙ったわけではないが
どうも期待通りの流れになりそうな気配がした。

「忘れてた!」

その明るい返事にベジータの青筋が反応した。

「まあいいじゃねえか、
わりぃわりぃ」
「このくそったれ!」

ベジータは怒りを爆発させる。
迷わずカカロットの顔面に拳をぶち込んだ。
カカロットはよけなかった。
明らかに色々とさそっている。

「いてて!」

そういいながらなんだか嬉しいカカロットの顔である。
それがベジータの癪にさわりまくる。

「さっさととりにもどりやがれ!」
「なんだよ、せっかくおめえと会えたのに。」
「バカやろう!
用がなければ貴様と会うわけないだろう!」
「なんだよー、酷い言い方だなー」
「きさまの顔なんてみたくない!」
「なんでだよー
あいたかったくせにー」
「かってにきめるな!」
「…ほんとはおめえ、おらのこと好きなんだろう?
一緒にいたいんだろう」
「ば、ば、バカな事を言うんじゃねえっ!」
「ブルマとおらとどっちが好きだ?」
「どういう比較だ!」
「カカロットは俺のものだー!
っていったこともあったじゃねえか?」
「覚えてない!」
「死んだらあの世でおらと会えるかって
ピッコロに聞いたらしいじゃねえか?」
「・・・・・・でまかせだ、ピッコロの。」

一寸赤くなったベジータ。
心当たりがあるらしかった。

「冷たくすんなよ、ベジータ。
おらとおめえは2人っきりの純粋なサイヤ人じゃねえか。」

カカロットはにやりと笑った。

漆黒の瞳。
ベジータは背筋が冷たくなるのを
感じた。

こいつの目は不思議だ。
暖かいかと思ったら
急にこんなに残酷な光を放つ。
こいつの目は
獣の目だ。
俺の魂は
この視線に吸い込まれそうになる。


ベジータは思わず体をカカロットから離した。
全身鳥肌が立っていた。

「俺と闘いたいのか、カカロット。」
「そうだ。」
「…その手には乗らん。
今日の俺はいそがしいんだ。」

「・・・嫌だ」
「くそっ」
「・・・顔が赤いぜ
ベジータ。
おめえは正直だな。」

カカロットの手が伸びる。

「抵抗するならしたらいいさ。
おらは超3にならなくても
おめえに負けないと思うぜ。」
「・・・」
「おめえはおらからはなれられねえさ。」

カカロットは
ベジータの右腕をしっかり絡めとって
その身体を引き寄せようとした。

「やめろ。」
「おめえだってこれを望んでいるはずだ。」

ベジータは抵抗する。
しかしカカロットの力は強く
ベジータはそのまま岩壁に押し付けられた。
背中にごつごつした突起が食い込み
ベジータは眉をしかめた。

「…やめろ、カカロット。」
「やめねえ」

カカロットは唇を少し開くと
それをベジータの首筋に近づけようとした。
ベジータより二周りは大きいたくましい肉体が
ベジータの身体を包み込むように覆い被さってくる。
身動きが取れない。
悔しさのあまりベジータは思わず叫んだ。

「ちっくしょう!」

ベジータはドンという音を立てて超化した。

「貴様という奴はいつもいつもいつもいつも同じ手を使いやがって!
そんな紛らわしい手がいつまでも通じると思うのか!
バカにするなーーーー!!」

ベジータは顔を真っ赤にしてカカロットに気弾を発射した。

「やったー!!!」

カカロットは大喜びである。

「な、な。
やりてえだろ
おらと修行がやりたかったんだろ?
おら、
そんなベジータが大好きなんだ!」
「俺は貴様なんか
大嫌いだ!!」

笑いながら自分も超化したカカロット。
らんらんらんとベジータに立ち向かっていく。
らんらんらんが気に入らなくて
ベジータは更に気を高めた。

「くそったれがー!!」

地響きが響き渡り岩山が崩れる。
砂嵐が舞い起こり熱風が吹き荒れる。
拳と拳のぶつかる鈍い音がこだまする。
光る稲妻
燃える太陽。




然し。










これで良いのか、ベジータ。
最初の用はどうなった。











日もどっぷりくれてしまった。
一面穴ぼこだらけの岩壁。
これ以上壊れないくらいに破壊されていた。
北の高地は静まり返っている。
不気味なくらい静まり返っていた。

そこにやってきたのは悟飯だった。
スーツ姿でなにやら紙袋を抱えていた。
あたりを見回す悟飯。
神経を集中させた悟飯は
めぼしをつけたところに舞い降りた。
「よいしょ」
悟飯は一枚の大岩をめくる。
その下には予想通り
父親とベジータが仲良く瓦礫に埋もれていた。

仲がいいんだろうな、多分。

良く判らないが
そうなんだろうと思うことにしている。
あれから。

悟飯は強くなりたいとは思わなくなった。
平和な世界での悟飯は
家庭をもち仕事もこなす学者である。
だがこの世に戦士はもう必要ないのに
この2人は相変わらず
毎日ぼろぼろになるまで修行している。
外見の若さもさることながら
戦闘民族としての習慣も
悟飯が物心ついたときから
全く変わっていなかった。

「あーあ、もう・・・」

悟飯は埋もれている父親に声をかけた。

「お父さん、晩御飯が出来ましたよ。
それと忘れ物ですよ。」

高いびきをかいていたカカロットであったが
目を覚ましむっくり起き上がる。

「あ、やべえ、
遅くなるとチチが怒るもんなあ」

そして隣で気を失っているベジータの身体を揺さぶった。

「ベジータ、おきろって。」

ベジータはなかなか目をさまさなかった。

「よくねてらあ」
「お父さん、どう見ても気絶してますよ。」
「キスでもすりゃおきるんだけどな。」
「おとうさん、冗談はやめてください。」
「そだな、王子様がキスしておきるのはお姫さまだもんな。」
「なにをいってるんですか、もう。」

悟飯は父親をいさめると
ベジータに近づき耳元でそっとささやいた。

「…ベジータさん。
ほらほら
ブルマさんの誕生日が終わってしまいますよ。」

はっと目を覚ますベジータ。
体の上の岩を跳ね除ける。

「悟飯!
今何時だ!」
「はい。
夜の8時50分ですけど?」
「まずい!
まずいぞ!!」
「・・・はい、ベジータさん。」

悟飯はにっこりと笑うと
ベジータにリボンのかかった大きな包みを渡した。
「ちゃんとビーデルさんに見立ててもらいました
きっと喜んでもらえますよ。」
「初めから悟飯に頼むべきだったな。
ベジータは一言の礼を言うでもなく
当然のごとく
その包みを受け取った。

ガラガラと岩を押しのけてたちあがる。
ひどい砂埃に悟飯はおもわず目をつぶった。

「俺は行くぞ。
カカロット。
貴様にはもう二度と会わん!!」

ベジータはブルマの誕生日に
プレゼントを贈ろうとしたのだった。
生まれながらの王子の彼は
もらうことや横取りすることには慣れているが、
物を贈ることはしたことがない。
それでカカロットに相談したのだ。

カカロットもカカロットで安うけあいしたものの
「やっぱ、わかんねえ」
…だったので結局悟飯に任せたのである。
その上プレゼントを家に忘れてくるというおまけつきであった。

「カカロット・・・
本当に貴様はだめな奴だ。」

ベジータが飛び去ろうとしたとき
悟飯が遠慮がちにそろりと声をかけた。

「あ、あの・・・」
「・・・」
「すみません、ベジータさん。」
「なんだ」
「僕、
そのプレゼントのお金を
立て替えてるんですけど。」
「金か」
「はい、すみません。」
「悪いな。
俺は金など使ったことがない。」

ベジータは答えた。

「誇り高いサイヤ人の王子が財布を持って歩くと思うか?」

固まる悟飯。
その堂々とした答えように
どう反応していいか見当がつかないらしかった。

ベジータはふっと笑うと一言いった。






「代金はブルマに請求しておけ。」














「・・それじゃプレゼントにならないですよ。」













思わずつぶやく
所帯持ちの悟飯であった。



爆風!
太陽光線が全く遮られるほどの
砂埃が舞い上がり
あたり一面が強い風に襲われた。
ずしん!という重い地響きがおこって
びしびしびしと
地割れが一気に
あたり一面に広がった。

「いてえなあ…」

何処からか
あんまり痛そうでない声がした。
地割れの間から這い出したのは
黒髪のカカロットだった。

「うれしそうににやけるんじゃあない!」

カカロットの頭上から吐き捨てるような声がした。
カカロットは天を見上げる。
口元が確かににやけていた。

「おめぇ、絶対気がみじけぇよォ」
「き、貴様がつまらんことをぬかすからだ!」
「オラなんにもいってねえよ」
「今言った!
貴様が何を言っても腹が立つんだよっ!」
「そりゃムチャだと思うなあ、オラ。」

眉間にしわを深く彫った
ベジータが空中に浮かんでいる。
両腕を組んで
いかにもいらいらとした雰囲気を
周り中に漂わせていた。

「もう俺は帰る!」

背中を向けて飛び去ろうとするベジータに
カカロットは慌てて地割れの間から飛び出し
しっかと抱きついた。

「なんだよ、
ベジータ
帰んなよ」
「貴様・・・!」

カカロットはただベジータと修行したいだけなのだ。
それはわかる。
宇宙広しといえども
カカロットの相手が勤まるのは自分だけなのだ。
それは決して
そうむちゃくちゃに
気に入らないことでもなかった。
<どっちなのか?>
然し
奴のこのしつこさにはげんなりする。
たしかに!!
ベジータも修行は好きだ。
それは間違いない。
然しベジータは
一人で修行するのが好みなのだ。
彼は孤独を好んでいる。

…それは「俺が誇りたかきサイヤ人の王子」だからだ。

ベジータは自分で呟いてふっと笑う。
それを聞いてカカロットは唇を尖らせた。

「おめえだってオラといるのが楽しいだろ?
オラたちゃ
この世でたった2人の
純粋なサイヤ人じゃねえか?」
「貴様、
いくら修行が楽しいからと言ってもだな、
もう一ヶ月だぞ!
勝手に部屋で寝ていた俺様を
こんなところに連れてきて
寝てもさめても貴様と2人で修行だと!
いいかげんにしろ!!
俺は帰る!!」
「無駄だって、ベジータ」
「黙れ!」
「…瞬間移動でおいつくもんね、オラ。」
「やめろ…」
「またここに連れて来るし」
「…だからやめろって」

ベジータはカカロットの腕を振り解いた。

「ベジータ、ほんとに帰るのか?」
「…あたりまえだ。」
「おらよりブルマのほうがいいのか?」
「ば、ば、ば…!」

ベジータは真っ赤になった。

「貴様、バカな事を言うな!!」
「ははーん、図星かあ」
「貴様とブルマなんていったいどういう比較なんだ!!」
「だってさ」

カカロットはベジータをもう一度抱き寄せて
唇をその耳元に寄せる。

「オラだって
こんなにおめえを大事にしてるのにさ。」
「まぎらわしいことをぬかすな!」
「ベジータってプライドが高いんだよな。
なのに最近のおめえときたら、
なんだかつまんねえ。」
「どういうことだ」

…乗ってきた。

カカロットはにやりと笑う。

「おめえさ、
最近ブルマに頭があがってねえんじゃないかあ?」
「な、なにをぬかす!」
「サイヤ人の王子なら怖いものねえはずなんだろ?
でも近頃のおめえは
すっかり家庭的になったというか…」
「もういうな!」
「この前遊園地に行ったそうだな。」
「…」

どうも心当たりがあるらしかった。

「たかが一ヶ月だろ?
俺たちは戦闘民族なんだから
やろうと思えば
3年でも10年でも
修行が続けられるじゃあねえか。
何でそんなに帰りたがるんだ?」
「貴様と二人が嫌なんだよ!!」
「どうして?」

カカロットはベジータの瞳を覗き込む。

「オラとおめえの仲じゃねえか?
隠し事なんてなしだぜ。
…王子様」

カカロットは
ベジータの背中に腕をまわす。
カカロットのごつごつした手が
ベジータの滑らかなうなじに触れる。
一瞬身体を硬くするベジータ。
そのベジータの黒髪を
もう一方の手で優しくかきあげると
カカロットはベジータの薄い唇に
自分の顔を近づけた。

ベジータは赤面し
かっと目を見開くと
一気に気をドッカーンと爆発させた。

「き、き、き、き、貴様という奴はーーーーー!!!」

一気に超化し
気弾をカカロットにめがけ発射する。

「訳のわからないことをするんじゃない!
ゆるさん!
ぶっ殺す!」
「やったー!!」

カカロットは戦える喜びに耐え切れず
歓喜の叫びをあげた。
カカロットも超化する。
髪が黄金に輝き
目はクリスタルのようにきらきら光を放つ。
<しかし口元はにやけているように見える>
カカロットはベジータの気弾をよけると
今度はベジータの頬に一発パンチを食らわせた。
ベジータは気位が高い。
殴られることにはとことん慣れてはいても
顔だけは特別である。
息子である幼いトランクスのパンチが
頬にかすっただけでも
思わず本気で反撃してしまうのだ。
<これが元で遊園地に行ったらしい>
自分の容貌に絶対の自信をもつ彼は
自分の顔が傷つくことが
本当に!!嫌いなのだ。
それをカカロットは十分!!知っている。
読みどおり
頭に血が上ったベジータは
顔を真っ赤にして
カカロットに立ち向かっていった。

誇りたかいサイヤ人の王子ベジータ。
プライドが恐ろしく高く
何人たりとも彼の心を自由には出来ない。

然し思考パターンが単純なためか
一部の人間にいいように動かされていることを
多分彼は気づいていない。<
様である>








「ほら、無駄だったろ?」

後ろからカカロットが声をかけた。
やっとの思いで戻ってきた
カプセルコーポレーション。
鍵という鍵はすべてかけられていた。
インターホンを押しても返答は全くない。
明かりはすべて消えているように見えた。
あまりにも不自然である。

「もしかして
おめえ締め出されてんじゃあねえか?」

カカロットはこらえきれず
くすくす笑った。
ベジータは黙っている。
言い返す言葉もないようだった。

「どうした?
はいんねえのか?
こんなドアなんて
ぶっ壊せばいいだろう?」
「うるせえ…」
「窓ガラスなんて
わればいいじゃねえか。」
「…」
「然しブルマもつめてえなあ、
おまえを締め出すなんてな。
まあ
めったに帰ってこないわけだから
追い出されても
仕方がねえか。」
「…貴様はどうなんだ?」
「オラ?
オラか?」
「そうだ」
「そりゃあオラは
チチを愛してっからなあ。
こまめに帰ってるさ、
瞬間移動で。」
「貴様
…俺様を監視しているくせに
自分だけはパオズ山に
帰ってやがったのか。」
「だってオラはチチを愛してるもんな。」
「貴様、…汚いぞ!」
「あれ?
ベジータ。
おめえもブルマを愛してるのか?」

ベジータはどっと汗をかいた。

「な、なにをいうんだ!
ば、ば、バカな事をいうんじゃない!」
「じゃあ帰らなくてもいいじゃねえか。」
「俺は腹がへってるんだよ!
まともな食い物が食べたいんだ」
「チチが飯なら作ってくれる。」
「何で
…俺が貴様の家で
飯を食わねばいけないんだ!」
「いちいち怒るなよ、
ベジータァ…
じゃあ
瞬間移動でオラが家の中に入れてやるよ。」
カカロットは笑いながら言った。
「そのかわり」
「あ?」
「ブルマが好きだってことを認めろ。」
「だ、だ、だ、誰がそんなこと認めるか!」
「だってさー
好きだからいっしょにくらしてんだろ?」
「ちがう!!!!」
「じゃあなんで?」
「そ、それはだな!」
ベジータは気づかなかった。
3階のブルマの部屋の窓が少し開いて
ブルマがそっと顔を出していたことに。

「あ、あ、あ、あ、あ、
あの女が俺にいてほしいと言ったからだ!」

そのとき。
ばたん!
と窓のしまる音がした。

…耐え切れない静寂が流れる。
ベジータはぼとぼと汗を流し
カカロットは鼻の頭を人指し指で
ぽりぽりかいた。

「あ、おらももう帰ろうかな」

…それはないだろう、カカロット。

慌てて姿を消したカカロット。
ベジータは煮えたぎる思いをこらえていた。

貴様は知らないんだ。
<ブルマの恐ろしさを。>←言葉に出せない部分。

誇りたかいサイヤ人の王子ベジータ。
プライドが恐ろしく高く
何人たりとも彼の心を自由には出来ない。

然し思考パターンが単純なためか
一部の人間にいいように動かされていることを
多分彼は気づいていない。<様である>

ベジータは拳を何度も握りなおす。
そして決意したようにすっと空中に浮かび上がり
ブルマの部屋の窓に向かった。

中はほんのり明かりがついており
ブルマは頭から蒲団をかぶっているようだった。
ベジータは右手をゆっくり差し出して

…窓ガラスをそっとたたいた。




「すまん、・・・入れてくれ」


其一 邪悪な神龍とまぬけなピラフ



黒い星のドラゴンボールが輝いて、邪悪な神龍が現れたとき、その出来事は起こった。
誰も予想していなかったZの続編ZGが始まったのである。


天界。
悟空と、ウーブは固く固く握手をした。
とうとう、二人の修行が終わったのであった。

「ありがとうございました!!」
「うん、また戦おうなっ!」

大きく育ち、たくましくなったウーブ。
今一度、師匠である悟空を振り返り、満足そうな表情を浮かべ、
自分のすむ土地へと帰っていった。

「さあオラもけえるかなぁ。
世話になったな、デンデ、ミスターポポ!」」

悟空が言った。
デンデとミスター・ポポは顔を見合わせてにっこりと笑った。
安堵の笑いであった。

・・・もう、神殿を壊されなくてすむ。
早く帰って・・・。

もはや地上に悟空が思い切り戦える場所はない。
パワーアップにパワーアップを重ね、いまは無敵といえる悟空である。
ひとたび超3にでもなれば、地上のあちこちに突風を巻き起こし、地震を起こす。
世界を救っているのか破滅させているのかよくわからない。
そして、当の本人はその弊害を全くわかっていない。
だからデンデはウーブの卒業試験を神殿で引き受けた。
デンデは地球の神なのだ。

・・その結果。
ミスター・ポポが改造に改造を重ねた特別室も二人の起こす衝撃を抑えきれずに
やはり神殿はがたがたに破壊された。
神様であるデンデにそのことが読めないわけではなかった。
そうだ。
わかってはいたのだ。

・・・・・しかしやはり疲れた。

デンデが漏らす深いため息。

サイヤ人なんて、僕もしかしたら嫌いかもしれない。
ナメック星人の方が穏やかで絶対いい!

神様だから、言葉にこそ出さなかったが、デンデはそう考えてしまった。
まだ神としての修行が足りないらしい。

それを見ていたミスター・ポポが背中を向けたまま答えた。

「まだ、ベジータと悟空、仲悪いから助かる。」

そのとおりだ。
もし気が合ってフュージョンでもされたら、地球はおしまいだ。
悟空の破壊力とベジータの冷酷さ。
考えただけでもぞっとする。
<いや考えたくない。>

「おや?」

急に悟空が声を立てた。
目指す方向になにやら怪しい気が感じられたらしい。
悟空は一人、神殿のはずれに向かった。

見たことのある人影が3つ。
それは見事に年老いたピラフ一味だった。

「おめえ、どっかであったよなあ」

悟空に声をかけられピラフは固まった。
足ががくがく振るえ歯がかちかちなった。

こいつは・・間違いない。
・・・嫌だ、こいつ。
大嫌いだ。

黒い星のドラゴンボールを求めて、ピラフ達3人は神殿に忍び込んでいたのだった。
まだ世界征服をたくらんでいるのか。
ピラフ百まで踊り忘れず。
すでにドラゴンボールは7つ集まり、上空は暗くなってきた。
この異変にきづき、デンデとミスターポポも悟空の下へ集まろうとしていた。

「おめえ、また何か悪いこと考えてんな?」
「え、何のことでしょ♪」

近づく悟空。
もう失禁寸前のピラフ。

・・・こわい!恐ろしすぎる。
もう嫌だ。
・・・そうだ、こいつが子供になれば!
・・勝てるかも!!
<もしかしたら♪>

そう思ったピラフは、声をからして叫んだ!

「神龍お願い!悟空を若い女にして!」

・・・言い間違えた!!
どうも複数の希望が一度にでたようである。
若い女もかなりこのみなピラフだった。
光る稲妻。

神殿の上空にはもう神龍が召喚されており、神龍は低い声でこう答えた。

「たやすいことだ、・・・・承知した。」

突然、悟空の体は光の玉に包まれ、だんだん悟空は小さくなっていった。

「アーーー!!悟空さん!!」

デンデが駆けつけたときすべては終わっていた。





其二、見たくないもの登場




ミスター・ポポはがっくり膝をついた。
見たくないものを見てしまった。
デンデの口は開いたままだった。
神としての彼の理解を超える物体である。

「・・・悟・・空さあん?」

声がひっくり返った。
そこにはもとの姿とは似てもにつかぬ者がいた。
170センチあるかないかの身長に引き締まった細い体。
小さい顔。
可愛い鼻。
まん丸な黒い瞳。
そして、だぶだぶの胴着をまとった細い腰と、丸い胸のふくらみ。

「悟・・空さん?ほんとに?」

デンデが声をかけると、少女は自分に起きたことを確認するように自分自身を見つめた。

「参ったなあ・・・オラ、女になっちまったぞ。」

胴着のあちこちを引っ張っては、中身を確認する。
デンデもミスター・ポポもおそるおそるよってきた。

「これってかなりへんですよ・・・」
「ものすごくへんだ。」

悟空はデンデの顔を見る。

「ま・・・いいか!」

思わずこけそうになるデンデであった。

「よくないでしょう、悟空さん!!」

デンデが顔を赤紫にして叫んだことに
まったく気も払わない御気楽悟空であった。
ミスターポポは目をあけて寝ているらしい。
<気絶とも言う>

「とりあえずさあ、腹減ったからかえるよ。」

女悟空はふわりと飛び上がった。
女になっても戦闘力は変わりがないのかもしれない。

なんだか早く忘れたい・・・。

地上に降りていく女悟空を見送りながら、デンデは思った。

・・あの胴着、もっと帯しめなきゃあ、脱げると思う。

あんなだぶだぶの胴着で動き回れば、そのうち脱げて丸裸になる。
元々裸になるのが好きな悟空さんだ。
絶対気にしないだろう、丸裸で空を飛んでても。
そう考えると、デンデは頭が痛くなってきた。








其三むかつくベジータ


悟空は一路家路に向かっていた。
何年ぶりだろう。
うまい飯にありつける。
それを考えるとるんるんの悟空であった。
しばらくすると西の都が見えてきた。

・・・ベジータ、どうしてっかなあ。

ふと、寄り道をする気になった。
カプセルコーポレーションの建物を確認し、ふわりと降りていく。
勝手知ったる人のうち。
女悟空は、ずかずか中に入っていく。
むこうの廊下から、トランクスがやってきた。

「おす。」
「・・こんにちは・・?」

つられて返事をしたトランクスであった。

「??」

見慣れない少女は、さっさと角をまわって行く。

「・・・え?」

思わず、手にもっていたすべての書類をそのへんにばら撒いたトランクスであった。

「・・・!!!!」


そのころ、ベジータは自分の部屋にいた。
先ほどから、「あの気」を感じて、不機嫌になっていた。
出かけてやろうかと思ったがどうせ瞬間移動で追いついてくる。
どこまで逃げても追いかけてくるのだ。
しつこさ、宇宙一。

・・・この何年か、平和だった。

・・くそったれめ!

ベジータはその瞬間を煮えたぎるような怒りで迎えようとしていた。

・・まず出会い頭にぶったたいてやる!!

ドアの向こうに気を感じた。
ガチャ!!
ベジータはダッシュした。

「くらえ!!!」

頭に蹴りをぶち込むつもりであった。
しかし!
見当をつけたところに悟空はいなかった。

「よう、ベジータ!」

下のほうで声がする。

「うううううわああああああ!!なんなんだーーーー!!!」
「久しぶりだなあ、ベジータ!」
「よ・る・な!!!!!!!!!」

そこにはにっこり笑った、少女の顔があった。
少女はドアを閉めてベジータのほうに近づいてくる。

「お父さん!!何があったんですか?」

廊下の向こうからトランクスの声がした。

「・・・う、なんでもない。」

ベジータは蚊のなくような細い声を出した。
トランクスも、父の部屋の中で異変が起こっているのに気づいていたが、
…ドアをあけるのに戸惑いがあった。

・・・こわいことになっている、たぶん・・・
みたくない。
かかわりたくない・・!

思わず仕事に戻るトランクスであった。
そしてベジータの不機嫌は頂点に達していた。

「貴様・・・その姿はどうした。
今度はどこで、そんな技を覚えやがった。」
「技じゃあねえよう。ちょっといろいろあってな」
「いろいろあって何で女なんだ!!」
「オラにもわかんねえって」
女悟空はからからわらった。

・・・そういう問題なのか?
ベジータには気でこの少女が悟空だと確認できる。
ついでにこのあほ馬鹿男<女>が
自分が女になったことに何の戸惑いも感じていないのも。
正に御気楽の宇宙チャンピオンだ。
馬鹿のきわみといえる。

しかし・・・・?
これが悟空?
ピッコロと、セルと、魔人ブーと、そしてこの俺様と
数々の死闘を繰り広げ、超3まで極めた、永遠のライバル。
この小さい少女が???
女悟空は、ベジータのベッドに座った。
大きさのあわない胴着がぶかぶかで
隙間から形のいい乳房が見えている。

・・・こいつ、俺様を陥れるつもりか?
もしかしたら新手の罠か。
ふははははは!
俺様がこんな手にかかると思うのか!
俺様はベジータだ!!
・・ヤムチャとは地球と、惑星ベジータだ!!
<意味不明>
おろかなりカカロット!!
わはははははは!!
そうはいくものか!!
俺様は誇りたかきサイヤ人の王子だからな、
このくらいの誘惑なんてへとも思わないぞ。
貴様と違って、俺様はストイックなんだ!!
ストイック、貴様にはわからんだろう、
ストライクじゃないぞ、フハハハハハ!!!

ベジータは自分で考えて自分で笑った。
ちょっと我慢できなかったらしい。

「貴様が男だろうが女だろうが、俺様には関係ない。
用がないならさっさと帰れ!!」
「何だよう、ベジ-タァ、
もう何年もあってねえから顔を見にきたんだ。」
「こなくていい!!」
「なあ、久しぶりに、一戦交えようぜ!」

ぶっ!

ベジータは青くなった。
「したくない!!」
「戦おうぜ、なあ?」

・・・あ、そっちね。

一瞬何かを期待してしまったベジータであった。

くそ、俺様としたことが・・・。
こんなわけのわからん女カカロットの何かを期待したなんて。
このプライドの高い俺様が!!!
いや、ちがう。
俺様は、ちょっと考えただけだ。
別に何をしたわけではない。
さすがだ!
若い女の誘惑にも耐える俺様の姿。
うーーーん、美しい。


ここで決めねばならない。
いつまでもバカロットといると俺様まで馬鹿になる。
ベジータはこほんとひとつ咳払いをした。

「き・さ・ま・・!さっさとでていくんだな。」
「エーーなんでだよぉ、せっかく来たのに」
「女に成り下がったてめえなんか俺の敵ではないんだ!
俺様が本気で怒り出す前にき・え・ろ!!」

ベジータの出した右腕が悟空の胸にあたった。
青ざめるベジータ。
さわりたくなかったらしい。
そのとき。
悟空に変化が現れた。

「いやん、ベジ-タァ」

・・・・!!

ベジータはもう気がつかないことにした。
気持ち悪すぎる。

「でていけ!!」

ベジータは思わず悟空を突いた。
思いもかけず、悟空はあっさりよろめいた。
ベッドに倒れこむ。
胴着がずれていろいろ見えている。
あれとかそれとか・・。

「ひどい、ベジ--タ
・・・・何年もあってないのに、暴力をふるうなんて。」

気持ち悪い・・。

ベジータはこの事実を見ないことにした。

「貴様が帰らないなら俺様がこの部屋を出て行くまでだ。」
「いや!!そんなの嫌よ!行かないでベジータ!!」

・・・いや、行く。

ベジータは抱きつく悟空を跳ね除けた。
悟空は離れまいとベジータの腰にしがみつく。
ベジータはそれをはがそうとむきになって暴れる。
悟空はベジータを全身の力をこめて押し倒す。

女になっても強かった。

・・・・女に負けそうだ・・!

元は悟空と知ってはいてもベジータのうけた衝撃は強かった。
その一瞬の隙を悟空は見逃さなかった・・。

「ほら。やっぱあたしのほうが強いわね。
超3にならなくても、黒髪のままでベジータにかてるわ。」
「バカ野郎!!キモいんだよ、てめえは!!
抱きつくな!!」
ベジータは、悟空と目が合った。
果たして悟空の瞳はうるうると輝きベジータの顔を覗き込んでいる。

嫌だ、こんなの。

ベジータは悲しくなった。
何で悟空とベッドに倒れてなきゃならないんだ。
こんなに絡まって。

ベジータは叫びをあげた!

「はーなーしーやーがーれー!!!」

ついた手のひらが、
悟空の丸くたわわに実ったあそこのふくらみにあたった。

「イヤーーン、ベジータったら!
やっぱりさわりたかったんだぁ。」
「ちーーがーーうーー!!」

その一発に目覚めた悟空であった。
逃げようとするベジータを力いっぱい押さえ込む。
小さくなってもベジータよりは大きい。
長い手足をしっかり使ってベジータの四肢を固定する。
ベジータが、気を発して超2になる。
悟空は笑いながら、超2になる。

「無駄よ、ベジータ。<ハート>
あたしは超3にもなれるのよ。
あんたが超3にならない限りあたしには勝てないわ。」

どんどん女性化する悟空であった。
・・・悔しいがそのとおりだ。
今のままでは俺様は奴には勝てない。
・・強い奴に正々堂々と戦って、負けるのはいい。
強い奴が弱い奴の肉体を傷つける。
戦士とはそういうものだ。

しかし!!
このパターンは嫌だ!

目を潤ませた悟空は、ベジータの体の上にそっとまたがった。
いつのまにか胴着が脱げて、全裸になっている、悟空。

ぶぶっっ!!

明らかに10代の身体だ。
ブルマに悪いが、これはこたえる。

悟空はベジータの胸に自分の乳房を合わせようとしている。

ヤダ。
絶対!

「たすけてくれーー!!!トランクス!!!!!」

カプセルコーポレーションにベジータの叫びが響き渡った・・。









其四さらば誇り高かった戦士達<過去形>


助けに来たのは、チチとブルマであった。

「悟空さ!!!!
いったいなにやってるだ!!」
「ベジータ!!!大丈夫!?」

思わず涙がこぼれそうになる、ベジータであった。

・・・見られた・・・こんな現場を!
俺様としたことが・・

ベジータの心の傷は、多分深い<と思う。>

「あたしなんにもしてないわ」

悟空はとぼける。
ベジータの上に乗ったまま。
それも裸で。
チチとブルマは、目の前が真っ暗になった。

「悟空さ・・・・ほんとに悟空さか?
どうして若い女なんかになっただ・・・。
それはおらへのあてつけか?」

チチはがっくり肩を落とした。

「もうなおんねえのか?」

ブルマは考えていた。

何とかしないと。
このまま悟空が若い女だったら・・・。
ベジータがあぶない!!

目の前の不気味な女よりベジータの貞操を案ずるブルマであった。

「そうよ、ドラゴンボールだわ!!」

ブルマに迷いはない。
男に戻す。


そのとき界王様の声がした。

「だめなんじゃよ・・
黒い星のドラゴンボールでかなえた願いは、
黒い星のドラゴンボールでしかもどせないんじゃ。
そのドラゴンボールはいま全宇宙に散らばっている。
おまけに一年以内に全部集めないと、地球が・・・」

誰も最後まで聞いていなかった。

「そうよ!!探しに行けばいいわ!」

ブルマとチチは同時に叫び飛び上がった。

「エー--、このままがいい。
だってこれで晴れてあたしベジータの奥さんになれるのに・・♪」
「ならなくていい!!」

悟空にベジータとチチとブルマのパンチが入った。

そして、ベジータは、トランクスに念を送り、
早速宇宙船の準備をするように伝えた。

「こんな星が消えようが、そんなことはどうでもいい。
いっそのことカカロットが2度と戻ってこないように
航路をブラックホールにでも向けといてやれ!」

ベジータの提案は却下された。

4時間後。
いよいよ宇宙船の準備が出来た。
悟飯、悟天、ビーデル、パンもいる。
みんな悟空みたさに集まったらしい。
チチはショックで寝込んでしまった。

ベジータは自室にいた。
もう外にでる気は無かった。
カカロットなど会いたくもない。
ベジータは、さっさとベッドにもぐりこんだ。

・・・今度目覚めたらあの気持ち悪い奴はもう宇宙の果てにいる。
帰ってくるな!!
宇宙のごみと消えやがれ!

思わず、くすっと笑う、ベジータであった。
横たわって目を閉じる。
そのとき、背中側に何かが来た・・。
はっと飛び起きようとするベジータ。
全身鳥肌が立っている。

しまった!
・・・瞬間移動か!!!

ベジータは 何度も起き上がろうとするが、
すごい力で抱きしめられる。
細いけれど凄く力強い腕である。

・・・くそったれ!

顔をベッドに押し付けられ息が止まる。
もがけばもがくほどマットレスに顔が沈む。
不意をつかれて、ベジータは動けなかった。
おまけにシャワーを浴びたばかりだから、全裸だった。
これでは、どうぞ、お好きに・・・の体勢である。
腰だけがうつぶせのままもちあげられる・・!
背中に奴の身体の一部が触れて
とても気持ちが悪い。

「へへへ・・・覚悟はいいな、ベジータ・・・」

「あーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

ベジータ危機一髪!!
男の操が危ない!!


「お父さん!!何やってんですか!!」

無茶苦茶で気持ち悪い二人の気が
悟飯と悟天を呼んだ。
悟天は呆然としているだけだが、
悟飯は思わず吐きそうになった。

・・お父さん・・行くとこまで行きましたね。

いまからでもピッコロの養子になりたい悟飯であった。

・・・たすかった・・・。

ベジータの瞳に涙が潤んでいたのを誰も知らない。

なんと、女悟空は裸にエプロンだけをしていた。
どうしてもお嫁さんになりたかったらしい。

「ちっ!もう少しだったのによ!」

それでもさすがに息子の前では何も出来ない悟空であった。
悟飯と悟天に抱きかかえられて悟空はしょんぼりしていた。

ベジータの血圧は500を超えた。
全身の毛穴が開き湯気のように気が噴出した。
全身を金色に輝かせたベジータは、
全裸のまま犬の子を捨てにいくかのように悟空の首根っこを引っ張り
パンツもはかず宇宙船までどかどか進む。

す・て・る!!

全裸ベジータは、裸エプロンの悟空を宇宙船まで連れて行くと
おもいっきり右足で蹴飛ばし、
中に押し込み込み、バタン!!とドアを閉めた。

もう、航路をめちゃくちゃにしてやる。
貴様なんか宇宙のくそだ!!!
わー-っははは!!!

そして、迷わず、発射スイッチを押した!!

ゴゴゴゴ・・・・・・。

煙が吹き上がる。
地響きとともに宇宙船は浮きあがる。

「あああああーーー!!」

ブルマが叫んだ!

「ベジータ、なんてことを!!」

ベジータは、ふん、とつばを吐いた。

「わははははははは!
ざまあ見ろ、カカロット!!
貴様なんか宇宙のごみだ!!!
もう2度と帰ってくるな!!!
わーっはははは!!!!!」

ベジータは笑った。
悟空の瞬間移動のことは忘れているらしい。

「ベジータのバカ!」

ブルマがさけんだ。

「まだ孫君の荷物つんでなかったのよ。
服どころかいま食べるものもないわよ。」
「それがどうした!俺様は誇り高きサイヤ人の王子だ!
気に入らない奴はすべて消してやる!!
みたか!
トランクス!!
これこそ真の王者だ・・・!って
え・・・トランクス???」

ブルマが叫んだ!
「トランクスがいない!!!」

トランクスは悟空の荷物を運んでいたのだ。
宇宙船の中で・・・。

その後、裸エプロンの女悟空とトランクスがどうなったか誰も知らない。