
べジータが地球にきて129日目になっていた。
べジータは自分の部屋のカーテンを開けた。
初秋をかすかに感じる風が彼の頬をかすかになでた。
しかしまた日差しは強い。
彼はまったく乱れていないベッドの上に腰掛けると
自分が床に脱ぎ散らかした衣類を手にとった。
べジータはまだベッドで眠ったことはなかった。
戦士としての彼の習慣が簡単に変わることはなかったのだ。
彼は立ったまま休息をとる。
よほど疲れているときでも床に座って寝るのである。
自分の記憶のある限り・・・
ベッドに横たわって眠ったことなどあっただろうか。
どんなに静かな暮らしにあっても
べジータは自分のしたことを忘れたわけではない。
べジータのすむカプセルコーポと同じ敷地の中に
ナメック星人の住む宿舎がたてられており
べジータは彼らと顔を合わすこともあったからだ。
ナメック星人がベジータを許すはずがない。
それにカカロットの息子も時々この家に遊びにきている。
自分が残酷に命を奪おうとした相手であり
自分に致命的なダメージを与えたミックスだ。
こちらのほうは一緒に戦ったこともあり
多少の好意はもっているのかも知れなかったが。
べジータには十分すぎるほどわかっていた。
自分は負けて殺されたのだ、という事実が。
フリーザとの戦いに恐怖し
何の抵抗も出来ずに殺されたのは俺だ。
そしてそのフリーザを殺したのはカカロットだ。
べジータはこぶしを握る。
このままでは終われない。
カカロットを
奴を殺さないと
俺はただの負け犬だ。
手にした衣類は青いシャツに生成りのパンツ。
自分が着ていた戦闘服や手袋なんかはもうぼろぼろで
どうしても着用することが出来なかった。
「同じ物を作れ」
彼は地球にきた直後
ブルマに一言命令を下したのだ。
ブルマは顔を真っ赤にした。
「あんたって本当にえらそうね、
お願いします、の一言は!」
ブルマはえらい剣幕でまくし立てる。
早口で、大声でぷんぷん怒る。
べジータは一瞬目を大きく見開いたが
どうも彼女にはうまく言い返す言葉が出ないようだった。
「私は天才だからこんなの簡単に作っちゃうわよ。
ちゃんと頼めば作ってあ・げ・る
頼みなさいよ」
べジータは耳が真っ赤になった。
自分でもそれがよくわかった。
このクソ女!
万事がこんな調子だ
狂ってやがる。
ということでべジータには戦闘服は今ない。
彼はブルマの母親が買い揃えた
地球の洋服をきているのだった。
戦闘のない129日間。
誰を殺すこともなく
誰にも傷つけられることのない129日間。
べジータの日々は
「当たり前に」すぎていったのだった。
その頃。
「どうしたの、この洋服!」
リビングに広げられた衣類の山。
それは新品の布のいい香りをさせていた。
シャツや、トレーナーやパンツなどの
男物が所狭しと広げられている。
ブルマの母親はニコニコと微笑んでいた。
「いいでしょう?
これなんかすごくいい色だし。」
「それはいいけど・・・一体誰の服なの?」
薄々わかっていながらも
ブルマは確認せずに入られなかった。
「べジータ?」
「そうよ、もうママうれしくってね
だってひさしぶりの男の子だもん。」
「男の子って年じゃないわよ、
あいつは。」
ブルマの言うことをきいてるのかどうか。
母親は広げたシャツを
またたたみながらニコニコするのだ。
「やだ、
べジータちゃんは何を着ても似合うわよ。
腰が細いでしょう?
姿勢もいいしね。
色も白いからどんな色も着こなせるし。
それで新しい洋服を着せてあげると
とてもうれしそうな顔をするのよ。」
「はぁ・・・・
ママったら・・・。」
母親は手を休めるとブルマに声をかけた。
「お茶飲む?」
二人がテーブルにつく。
「べジータには気をつけなきゃ、ママ。
あいつ何するかわからないわよ。
ヤムチャを殺させたのは
あいつなんだから。」
「そうね」
「ひどいやつよ。
この地球も滅ぼそうとしてたんだから!」
「でもね・・・」
母親はカップの中に砂糖を入れた。
「ママにはあの子がそんな悪い子に見えないの。」
「どこをどう見たらそう見えるのかしら。」
「あら、
ブルマさんだって
気づいていると思ったけど。」
「変なこといわないでよね。」
ブルマはお茶を一気に飲み干すと
さっさと席を立った。
「べジータのせいで
私は散々な目にあったのよ。
いい奴なわけないじゃない。」
「あら」
「最悪よ」
「じゃあ
なぜべジータちゃんをつれてきたの?」
ブルマは言葉を詰まらせた。
「パパに似たのよ・・。
私が小さいころから
パパが得体の知れない動物をひらってくるから・・・
だから・・・。」
「捨て犬じゃあるまいし。」
「野性の猿よ。」
ブルマは顔を真っ赤にした。
その夜は
ちょっとしたパーティだった。
あれから130日目の明日、
本場ナメック星のドラゴンボールが地球で復活する。
いよいよ孫悟空とクリリンが生き返るのだ。
悟飯が、チチが、牛魔王が、亀仙人が、
水しか飲めないナメック星人達も庭に
集まり立食形式パーティを楽しんでいた。
ベジータはいなかった。
いつしか宴は盛り上がり
夜もどんどんふけていった。
待ちに待ったのが明日なのだから
みんな泣いたり笑ったりした。
その後
ナメック星人たちが引き上げ
悟飯とチチが牛魔王につれられて家に帰り
亀仙人も宿泊する
カプセルコーポの一室に戻っていった。
大量の空き瓶と
ブルマと両親だけが残った。
「あらあら、
お料理がこんなに残っちゃったわね。
やっぱり悟空ちゃんがいないと寂しいわ。」
「大丈夫よ、ママ。
もうすぐべジータが
おなかをすかせて帰ってくるから。
あいつが全部食べちゃうわよ。」
「そうね。
べジータちゃんはそれはおいしそうに
なんでも食べるものね。」
「孫君も悟飯君もそうね。
サイヤ人というのはそうなのね・・・
たぶん。」
ブルマは業者に指示を出し
テーブルを一つ残して食事をまとめさせ、
後を片付けさせた。
「リビングに入れないの、テーブル?」
「あいつは誰にも会わないで
外で食べるほうがいいんだって。
ここにだしといてあげるわ。」
「まるで野生動物の
餌付けじゃのう。」
野生動物、と
ブリーフ博士がいって
ブルマと母親は顔を見合わせて笑った。
「本当にそのとおりだわ。
あいつナイフとフォークの使いかたも
ろくに知らないんだから。
シャワーだって石鹸を使った形跡がないし。」
「あらあ」
「ベッドだって使ってないみたいなのよ。
立って寝てるみたいなの。」
部屋に戻ろうとしていたブリーフ博士が
つぶやいた。
「そうじゃな・・・
彼は今まで
どういう生き方をしてきたんじゃろうなあ。」
秋の夜。
虫の声だけが庭にひびいている。
日中は暑いが夜はもう肌寒くなっていた。
「食い物はこれか。」
上のほうからべジータの声。
一人テーブルに残っていたブルマは
はっと上を見上げた。
満月を背負うようにべジータの黒いシルエットが
夜空に浮かんでいた。
「そうよ
あんたの分ばかりだから
みんな食べていいわよ。」
「ふん」
静かに下りてきたべジータは
腕を組んだままブルマをちらりと見た。
無言だった。
しかしべジータは
まるでブルマが
その場に「いない」かのように
さっさとテーブルにつき
がつがつと食事をはじめたのだった。
それはすさまじい勢いだった。
はらぺこの狼が(猿?)
空腹を満たすかのように
べジータは両手にもてるだけの食べ物を持って
ぐいぐい口に押しこんいる。
「ちょっとは
かみなさいよ。」
ビール用のジョッキに
ミネラルウォーターをいっぱいに
注いでやると
べジータは
激しい音を立てて
一気に飲み干した。
「味、わかるの?
そんな食べ方で。」
「わからん」
「何よ、それ。
結構たかかったのよ、
その料理は」
「そんなこと俺には関係ない。
食えればいいんだ。」
「・・・あんた、
ドッグフードでも気づかずに
食べるでしょうね・・・・。」
ものすごく早食いだった。
それは多分彼の習慣なんだろう。
フリーザ軍の中で
楽しいお食事タイムがあるなんてことは
ブルマにはどうしても想像が出来なかった。
初めてカプセルコーポレーションに
べジータを連れてきた日、
ブルマは本心では心配していた。
「あんたもくる?」と誘いながらも
凶暴な彼に本当は不安だったのだ。
その日カプセルコーポの前では
ブルマの母親がみんなを迎えてくれた。
ブルマの母親は花をいっぱい抱えた状態で
とてもにこやかにみんなを歓迎した。
でも
べジータはなかなか屋内に入ろうとしなかった。
まるでいじけた子供のように
最後の一人になっても
いつまでもその場にたったまま動かなかった。
「いらっしゃい、お名前なんていうの?」
べジータの素性を知らない彼女は
ニコニコしながら彼に近づく。
べジータの眉がぴくりと動いた。
「あ、ママ、あのね・・・」
ブルマが思わず声をあげた。
しかしブルマの母親は構う様子がない。
「あなた、
甘いものは好きかしら?」
べジータは案の定
眉間にしわを寄せた。
不機嫌な表情で何かいおうと
・・・彼は口を開いた。
そのとき
その口に
ブルマの母親がチョコクッキーを投げ込んだのである。
べジータは
目を見開いて彼女の顔を見た。
その半分開いた口に白い指を当て、
ブルマの母親がそっと口びるを閉じさせた。
「おいしいわよ、
食べてみて?」
屈託もなく微笑む母親。
べジータは、顔を真っ赤にして
口をもぐもぐさせた。
「どう?」
「・・・・・・うまい」
之がべジータのカプセルコーポでの
第一声だったのだ。
それはまだ幼い子供のようにも見え、
えさに釣られたワンコ(猿?)のようにも見えた。
口をもぐもぐさせる表情は
あの凶暴なサイヤ人の戦士の姿とは
到底同じ人物に思えなかった・・・。
そう
あれは奇跡に違いなかった。
ナメック星のドラゴンボールが多くの命を救ったのだ。
孫悟空とフリーザだけを除いて。
ナメックの長老が穏やかな語りで
事の次第を説明している間
ブルマはベジータをじっと見つめていた。
大好きなヤムチャを殺させた男である。
ナメック星では自分も殺されていたかもしれなかった。
許せるはずがなかった。
そんな凶悪な男も地球にやってきたのだ。
でもべジータは
血だらけだった。
全身に自分の血を浴びて
戦闘服は赤く染まっていた。
髪には大量の土がかぶさっている。
プロテクターと戦闘服の心臓のあたりが
黒くこげて大穴が開いていた。
しかし傷は見当たらなかった。
が、おそらくそれが
彼がナメックで「死んでいた」ことを物語っている。
彼は多分殺されたのだろう。
あのナメック星で。
彼も殺される側の生き物だったのだ。
ブルマはそう自分で理解した。
ナメック星人達が仮の宿を求めた時
彼女はそれを快く受け入れた。
「あんたも来たらー!
どうせ
宿賃もないんでしょ?」
その言葉はそう深い意味はなかったのだ。
ブルマにとって。
しかしベジータはプイと横を向いた。
怒ってどこかに飛んでいくかとも思っていたのに
べジータは木の幹に寄りかかったまま
わざとらしく顔をそむけたのだった。
それは小さな子供のようだった。
正直にそう思ったブルマにいたずら心が芽生え
彼女はもう一言声をかけた。
「いくらあたしが
魅力的だからといっても
悪いことしちゃダメよー」
そのときのべジータの顔を
ブルマは忘れない。
目を見開いて顔を真っ赤にしたベジータ。
汗をだらだらかき
どもりながらやっと口を開いた。
「げ・・・下品な女だ・・・・・・
・・・でかい声で・・・・」
真っ赤に染まった戦闘服と
うぶな少年のような表情。
この人は本当に
生まれながらの悪い人だったのだろうか。
ブルマはそのとき
はっきりそう思った。
「ねえ、お酒飲もうか?」
少し退屈してきたブルマは
そっとベジータに聞いてみた。
「アルコールは飲まん。」
「のめないの?」
「違う」
べジータはもくもくと食べ続けている。
「アルコールは判断力を狂わせる。
戦士にとっては致命的なダメージだ。」
「ふーん
でもここは地球よ。
あんた以上にやばい奴はいないわ。
ね、ちょっとのみましょうよ。」
「・・・」
「それとも酔っ払った姿を見られるのが
恥ずかしいの?」
「ばかな」
「・・・じゃあ、いこ。」
すでに十分飲んでいたブルマであるが
なんだかまだ
飲み足りなかった。
酔いのせいで
べジータへの警戒心の箍がはずれ
彼女の心には
理解不能な男(猿?)への好奇心が
むくむくと頭を持ちあげはじめていた。
積極的なブルマに
べジータは無言だった。
でも決してそれは不快ではなく
明らかに
どう反応すればいいのかわからないという感じである。
彼は今まで
自分に対してこんな対応をする女に
出会ったことがなかった・・・。
宇宙最悪の戦士べジータは
酔っ払いのブルマに手を引かれ
ともに屋内に入る。
なぜか手を振り解きもせず
おとなしくブルマの後を
てくてくついていく。
すでに両親も使用人も寝静まった屋内。
暗くなったリビングに明かりをつけたブルマは
ご機嫌でべジータをソファに座らせて
茶色いコニャックのビンを持ち出した。
「あんた、これ飲めるかなあ?」
「地球の酒か。
・・・まずくても
のめんことはないだろう。」
「へんないいかたね。」
べジータは差し出されたグラスに
自分で酒を入れてみた。
・・・いい匂いがした。
本当のことをいえば
酒を飲むのは初めてだった。
30年以上戦ってきたのだ。
たとえ戦闘中でなくても
隙を見せれば仲間にだってねらわれる。
飲めるわけがない。
それだけ恨まれることをし続けてきたのだ。
ずっとずっと・・・。
でも飲めないことを
ブルマにからかわれるのがいやで
べジータはグラスに口をつけた。
その酒は決して初心者向けの酒ではなく
一気に飲んでしまったべジータは
一瞬息を詰まらせた。
その後腹が急激に熱くなり
べジータは
ふう、とため息をついた。
それは不思議な感覚だった。
血の中を
炎がめぐる感じだ。
そののみっぷりを見たブルマは
べジータがかなりの呑み助だと思い込み
どんどんグラスに酒を注いだ。
一方酒の飲み方を知らないべジータも
ぐいぐい飲んでいた。
「いけるじゃん、べジータ。」
「まあな(違)」
頬を赤く染めたブルマも
久しぶりに飲む相手が出来てうれしいようだった。
べジータの横にブルマは腰をおろす。
「ねえ、
明日ナメック星のドラゴンボールが復活するのよ。」
「なに!」
「孫君が帰ってくるわ
・・・ヤムチャも。」
「ふん、
どうでもいいことだな。
しかしナメック語がわかりさえすれば・・・。」
「・・・不老不死になりたい?
・・・今も?」
「わからん。」
「・・・あんたの夢って何?」
べジータは自分の舌が
かすかにしびれているのに
気がついていた。
これが酔っ払うということだったが
べジータにその自覚はなかった。
自分が饒舌になっているなと
薄々気づいていたが
ブルマの傍から今離れる気が起きなかった。
「ねえ」
とろんとした目でブルマが聞いた。
「なんだ」
「あんた、
好きな人いないの?」
「そんなもの必要ない」
「家族とかはいないの?」
「・・・」
「話しなさいよ」
「何で貴様に・・・」
「知りたいのよ、
あんたのことが・・・」
べジータは空のグラスをブルマに向けた。
ブルマがそこにジンを
どぶどぶとそのまま注いだ。
(作者注・こんな飲み方をしてはいけません. 死にます。)
「わからないんだ・・・何も。」
べジータは
ポツリとつぶやいた。
「なによ、それ?」
「俺たちは子供の頃からフリーザ軍にいたからな。
記憶は飛ばされているのさ。
今俺の持っている記憶も
多分後から埋め込まれたものだろう。
軍に入る前の記憶はけされて
もっていないんだ。」
「・・・つらいね・・・」
「なぜ?
なぜそう思う?」
「思い出がなければ生きていけないわ。」
べジータはブルマの顔をみた。
酩酊状態のブルマであったが
その瞳はべジータをしっかり見つめていた。
「ここで生きなおせばいいわ・・・
地球で・・・
誰だって
やり直すことはできる・・・。」
そういうとブルマは
突然べジータにもたれかかってきた。
「おい、何だ!!」
それは
やわらかい肉の感触だった。
絹のような髪の毛が
べジータのひざの上に広がり
成熟した女の香りが
べジータの鼻をついた。
べジータのひざで
ブルマは眠ってしまっていたのだ。
・・・わけがわからん。
それでもべジータは
おそるおそるブルマの髪に触ってみた。
暖かい地肌の熱が
彼の指を刺激した。
「おい・・・」
なにをやってるんだ、
俺様ともあろうものが。
俺はおかしくなっている。
一度死んでから。
戦う目的を失い
訓練にも気が入らず
こんなところで
俺は何をしているんだ。
カカロット。
貴様は明日この星に帰ってくるのか?
ひざの上にある
ブルマの顔をみる。
この女に憎しみが芽生えない。
今までかんじたことのない
暖かい気持ちが
自分の中にめざめているのに気がつく。
こんなことではだめだ・・・。
残虐非道な俺に戻らないと
こんな状態じゃ
カカロットを殺せない。
くそっ!!!
この女といると
調子が狂うぜ。
「・・・殺すか?」
べジータは自分で自分に語りかけた。
そしてすっと
ブルマの首に両手をかけた。
「あばよ」
「・・・ヤムチャ」
そのとき、ブルマがいった。
とてもちいさい声だった。
べジータはうっすらと笑い
両手の力を抜いた。
そうだ
殺さずとも他に手はある。
もっと長く苦しませる方法が。
べジータはブルマの体をひょいと抱き上げた。
ついでにビンに残ったジンを
一気に飲み干すと
目の前が一瞬暗くなった。
そこをこらえて
彼はブルマのプライベートルームに向かった。
足元がぐらぐらゆれていた。
ドアを片足でけやぶって
べジータはブルマの体を
セミダブルのベッドに乱暴に投げ出した。
ブルマは目覚めなかった。
クソ女め。
お前の男は
明日帰ってくるんだな
それなら
貴様の体中に
俺の印をぶちまけてやる。
ざまあみろ
俺をなめるな!
馬鹿な女め!
べジータはブルマのTシャツを捲り上げ
その肌を乱暴につかんだ。
そして短いスカートをたくし上げて
小さい布を一気に破った。
なまめかしい肉の香りがする。
ベジータはそのにおいを何度も確認し
にやりと微笑んだ。
ベジータはブルマの両ひざを乱暴につかむ。
両足を抱え込むと
彼はその間に一気に体重をかけようとした。
そのとき。
ブルマが動いた。
ブルマが
自ら彼女の両腕を伸ばし
べジータの首をしっかり抱いたのだ。
「なんだと」
ベジータは驚いて動きを止めた。
ブルマは目を閉じたまま
べジータに複雑に絡みつき
その唇に激しく吸い付いてきた。
べジータは体を震わせた。
自分はどうしたらいいのか
すぐに判断できなかったようだった。
ブルマの唇は
丁寧にやさしくべジータの唇をなぞり続け
甘い息をもらしながら
何度も彼自身を強く強く吸った。
その両腕はべジータの背中に回り
優しく優しく彼を抱いた。
ベジータは思わず体を震わせた。
ブルマの指の動きが
ベジータの背中に
しびれるような熱い感触を走らせたから。
ベジータはゆっくりと目を閉じた。
それは
ベジータにとってはじめての体験だった。
泣き喚き
嫌がるあいてを
殴り
たたきつけ
力で組み伏せる。
強いものが弱いものの
すべてを踏みつける。
それが
ベジータの知っている
セックスだったから。
「ヤムチャ
ヤムチャ・・・」
甘く切ないささやき。
ブルマは泣いていた。
ベジータはその言葉を聞き逃すまいと
耳を凝らした。
「馬鹿な女だ
・・・・自分の男と勘違いしてやがる。」
ベジータはつぶやいた。
そして
ベジータは
ため息をつく。
彼はブルマの頬を両手ではさむと
一度だけ彼女に
深く深く
キスをした。
ベジータはブルマにシーツをかけてやると
そのまま自分の部屋に戻った。
程よい酔い加減が
彼の足取りを軽くする。
自分の部屋に戻り
彼は大きく窓を開け放ち
夜風を取り込んだ。
鏡を見ると
自分の頬は赤く上気していた。
みたことのない自分の表情に
驚いたのはベジータ本人である。
「地球の酒も
悪くない。」
ベジータは星を見上げた。
その夜ベジータは
初めて
ベッドに横になって寝た。