Der Zweite Reiter

Alex Beer

 

これは5月にデュッセルドルフの本屋さんで店員さんから勧められた本である。私が現在フォルカー クッチャーを読んでいると言ったので、まさに彼の作品からインスピレーションを受けたような内容である。

 

ウィーン、1919年

第一次世界大戦は負けた、

そしてかっての華麗な街には餓えと貧困が蔓延していた。

刑事としてアウグスト エメーリヒは最初自殺だと思っていた、もと兵士の死体に何か違和感を感じる。

しかしまもなく彼は恐ろしい真実に突き当たり、追う立場から追われる立場になってしまう。

 

エメーリヒは戦争で戦い、足に傷が残る、それは今だに激しい痛みをもたらし、彼も薬物に頼らざるを得ない。彼は孤児院で育ったそうだが、その時代の友人は裏社会で生きている。

 

(ウィーンの下水道は 映画 “ 第3の男 “ で有名だが、すごいらしい。今だに見学ツアーがあるらしいが、当時犯罪者たちはそこをアジトとして活躍していたそうだ。)

 

エメーリヒの上司は彼にギャングの親分を捕まえてこいと命令されるが、エメーリヒはピンチになった時にその孤児院時代の友人に助けを求める。

 

エメーリヒは孤独な男だったが、戦後、戦争未亡人になった女性ルイーゼと知り合い、彼女の子供たちと一緒に穏やかな生活を送っていた。

しかし戦死したと思っていたルイーゼの夫が帰ってくる。エメーリヒを愛してはいたが、敬虔なカトリック信者のルイーゼは神の前で誓った結婚を無効にすることはできない。

 

1人寂しく、暖かい我が家から出て行くエメーリヒには帰る家もなく酔いつぶれて、朝、病院のベットで目を覚ます。

 

彼のアシスタント ヴィンターは貴族の子息で、エメーリヒは一時、彼の邸宅に宿泊する。

ハプスブルク時代のかっての豪邸では、スペイン風邪で家族をあっという間に亡くし、現在はヴィンターと祖母だけが暮らしている。しかし邸宅内は戦後、乱暴者たちに闖入され、略奪にあい、部屋は荒らされ、高価なものは何もなかった。

 

広い屋敷だから、部屋を貸したら良いのに、祖母は平民がこの家に住むとは嫌だと言う。

そんなヴィンターの祖母にエメーリヒは隠していたモルフィネを盗み取られてしまった。

 

そしてエメーリヒは家のないひとの男子学生寮で暮らすことになる。この状況は2巻目でも変わらない。

 

作者のあとがきによると、この男子学生寮には若い頃のヒトラーも一時住んでいたそうだ)

 

ところで重要な犯罪捜査はと言うと、読み終えて随分時間が経ったので、よく覚えていない。あまり印象に残っていないと言うのが正直なところ。

 

エメーリヒは上司の命令も聞かず、ヴィンターと単独行動をするので、綿密な計画に乗っ取って行動をするのではなく、成り行きでゆすり、脅しを使って事件を追う。

 

帝国崩壊後の混沌とした街の様子は鮮明に伝わってくるが、例えばシェーンブルン宮殿の中の動物園では飼育員たちが努力しているのにもかからず、餌不足で何頭かの動物を殺さなければならなかったことなど、、、

 

それは第2巻でも同じようだ。

 

フォルカー クッチャーの小説でもそうだが、国のために戦争に動員され、負傷して帰ってきた兵士、また働き手を亡くした家族の惨めさは納得できない。

なぜ、国のために働いた人を、国またはその国民は暖かく見守り、援助しないのだろうか?

あまりにも理不尽だ。