高校教科書検定 おなじみの肖像画に新たな学説 頼朝、尊氏は「別人」産経新聞 3月27日(水)7時55分配信

快慶作とされてきた東大寺南大門の金剛力士像(阿形)(写真:産経新聞)

 多くの歴史上の人物が登場する高校の社会科教科書では、おなじみの肖像画が「別人」と判明して掲載されなくなったり、説明を変更したりするケースが近年相次いでいる。代表的なのは源頼朝と足利尊氏。実教出版の日本史Bでは、2人の肖像画をめぐる話題をコラムで取り上げた。

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 黒い馬にまたがり、刀を担ぐ武将。かつて「足利尊氏像」とされていた肖像画だが、現在は単に「騎馬武者像」とされ、他社の教科書にもあまり掲載されなくなった。コラムは、馬具の家紋などから「(尊氏の重臣の)高師直、あるいはその一族の者と理解されるようになった」としている。

 源頼朝として有名だった神護寺(京都市)所蔵の肖像画も「伝源頼朝像」と記載。頼朝像の真偽をめぐっては、冠の特徴などにより50年以上前から多くの疑問が出されていたと説明している。

 また、東大寺南大門の金剛力士像はこれまで、仏師の運慶と快慶による制作とされてきたが、現在の学説では湛慶と定覚も制作に携わったとされているとして、日本史の3冊は「運慶・快慶らの手になる」などと修正した。

 5世紀前後の大和政権と朝鮮半島の関係についても、「従来の(日本が)植民地的な支配を行っていたとしていた学説に、近年の研究で否定的な傾向が強まっている」として、日本史3冊の「勢力をのばした」との表現が「影響力をおよぼした」に改められた。

 こうした学説の新たな動向は、いつ教科書に反映されるのか。実は、国も明確な基準を定めているわけではなく、文部科学省は「事例ごとに判断している」とだけ語る。

 ■教科書検定 教科書会社が編集した原稿段階の教科書の記述が客観的かどうかや、適切な教育的配慮がなされているかを文部科学省が審査する制度。合格しないと教科書として認められない。学習指導要領に即しているかなどについて教科書検定審議会に諮り審査。教科書会社は指摘された検定意見に沿って内容を修正。合格した教科書は教育委員会などの採択を経て翌年春から使用される。


目立ちたがりが新説として珍説をだしてきて世の中がかき回される、ってこともあるんだろうなぁ。