現役世代だけにしわ寄せを続ける年金制度をどこまで許すのか
金野 索一

 今回は【年金】をテーマに社会保険労務士の北村庄吾氏(ブレインコンサルティングオフィス代表)と対談を行いました。対談の中で北村氏は、以前の民主党政権でのテーマであった「税と社会保障の一体改革」を自民党も継承すると考えています。社会保障制度の中でも最も注目を集める年金に関して、「世代間扶養」の仕組みを始め、過去2回にわたる年金の支給開始年齢引き上げによる実質的な給付の削減など、過去の年金改正は若者にしわ寄せを押し付けてきたと指摘しています。

 しかし一方で、アメリカやイギリスなどの先進諸外国は支給開始年齢を66歳以上に引き上げている国が多く、高齢化が進む日本(65歳に引き上げ途中)でも、いずれ年金の支給開始年齢を66歳以上に引き上げる必要があるのは容易に推測できます。

 また、現在の年金制度は、自営業者で40年間保険料を納めて満額の年金が支給され、サラリーマンは働き出してから最長70歳まで保険料を納めて、年金の支給を受けるという半世紀以上の長期にわたる制度という点にも着目しています。年金は老後の生活収入の85%程度を占める大きな収入源です。支給開始年齢が過去2回にわたり引き上げになったことは、財産権の侵害にあたるのではないかと語ります。

 最後に現在の年金制度の矛盾は戦争の道具としてはじまり、さらにこれを票獲得のための道具にしてきたのが最大の原因と語ります。半世紀以上にわたる年金制度はどうあるべきなのか。党派を超えて議論する必要があります。読者ご自身が主権者として今後の年金制度の在り方について選択いただければ幸いです。北村氏は、日本初となる中小企業の経営者と現役官僚と国会議員が三位一体となって「ヒト」の課題解決を行う場『官民産業研究会″人材オールジャパン″』を立ち上げました。人材オールジャパンとしての年金に関する意見をマトリクスに表しています。