内耳の細胞再生で難聴治療…マウス実験で成功
読売新聞 1月11日(金)15時1分配信
 難聴のマウスの内耳にある細胞を再生し、聴力を回復させることに成功し、慶応大の岡野栄之教授(生理学)らのチームが米科学誌ニューロンで10日、発表する。

 耳の奥にある内耳で音を電気信号に変える「有毛細胞」は、一度死ぬと再生しないため、難聴治療の大きな障害になっている。岡野教授らのチームは、有毛細胞を支える細胞に化合物の薬剤を投与すると、有毛細胞に変わることを確認。大きな音を聞かせて有毛細胞を傷つけたマウスの耳の奥にこの薬剤を注射したところ、マウスの聴力が回復した。

 加齢などによる難聴でも有毛細胞が死ぬタイプは多く、同じ治療法が効く可能性があるという。米スタンフォード大の大島一男講師(耳鼻咽喉科学)は「薬剤で聴力の回復を確認した研究は初めてで、難聴の改善に可能性を示した意義は大きい」と話している。

最終更新:1月11日(金)15時1分