「世襲議員」ってダメなんですか?
読売新聞(ヨミウリオンライン) 10月31日(水)16時46分配信

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引退表明した福田康夫元首相。長男が後継候補とされている。父親は福田赳夫元首相。(首相退陣記者会見で。2008年9月1日撮影)
父親や祖父など親族の地盤や知名度を受け継いで、選挙に立候補して当選した「世襲議員」には、「議席の私物化ではないか」などの批判や、「政界の新陳代謝を拒み、政治の活力を奪う」といった意見もあります。

 次の衆院選挙でも、多くの「世襲候補」が立候補しそうです。

 「世襲候補」の定義は明確には定まっていません。読売新聞社では、原則として<1>兄弟姉妹、父母、祖父母、曾祖父母など候補者本人の3親等以内の血族と配偶者に国会議員がいる<2>配偶者の兄弟姉妹、父母、祖父母など2親等以内の姻族に国会議員がいる――のいずれかであって、かつ、選挙地盤または政治家としての「看板」つまり知名度を引き継いでいるという条件を満たしている場合を「世襲」と定義しています。

 よく考えてみると、世襲は本来、その家の地位や財産、職業などを直系の子孫が代々受け継ぐことをいいます。他人がそれをやめさせることはできません。しかし、議員は選挙という洗礼を受け、そこで落選すれば、〈家業〉を継ぐことはできません。厳密に言えば、議員という職業を世襲するということは、実はあり得ないのです。

 ただ、いわゆる「世襲候補」は高い確率で選挙に当選します。2000年の衆院選では、「世襲候補」177人のうち126人が当選。03年も153人のうち108人、05年も160人のうち131人が、09年には149人のうち83人が当選しました。09年は5割台ですが、あとはいずれも7~8割の当選率を誇り、他の候補に比べて議席を獲得しやすいのは間違いないでしょう。

 「世襲候補」は大きな流れとしては減る傾向にはありますが、2012年8月26日現在の読売新聞社の調べでは、次期総選挙への立候補予定者1039人のうち、「世襲候補」は120人にのぼります。

 職人の世界では、代々、技と心をわが子に継承していくことも是とされています。もし能力のない者が、世襲だからと家業を継いだとしても、先人のように名人、大家と呼ばれるには至らずに終わりがちです。そうなると、伝統が途絶えてしまうため、血のつながりはなくとも実力のある弟子などから後継者を選ぶこともあります。

 選良としてふさわしいと有権者が考える「世襲候補」なら、当選させればいいし、そうでなければ落選させればいいわけです。逆に、たとえ公募候補でも、親分の言いなりになるチルドレンやベイビーズと呼ばれる〈素人さん〉ばかり当選させても国益を損なうばかりです。

 一律に「世襲候補」の立候補を制限するよりも、落選しても職場復帰を可能にする仕組みや、家庭を持った女性が国政に参加しやすい環境を整備するなど、幅広い分野から有為の人物が立候補できる工夫をするほうがより大切であり、有益なのではないでしょうか。


 (読売新聞 調査研究本部主任研究員 浜田 真彰)
世襲はダメです。