ハンマーで砕き、コンロで焼いた… 東京・浅草の飲食店経営男性失踪 犯行グループが語る狂気の犯行
産経新聞 10月14日(日)18時9分配信
ハンマーでバラバラに砕き、コンロで焼いて捨てた-。平成21年から行方不明になっている東京都台東区の飲食店経営、小林和之さん=失踪当時(27)=の遺体を長野県や新潟県の山中に捨てたなどとして、警視庁捜査1課が9月、死体損壊と同遺棄の疑いで逮捕した吉田慶太容疑者(30)の口から語られたのは、狂気ともいえる犯行の告白だった。小林さんとカネの貸し借りをめぐってトラブルになっていたといい、何度も場所を変えながら隠蔽工作を重ねていったとみられる。小林さんの遺体はいまだに見つかっていない。(中村翔樹)
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■「借金返済を迫られ…」 繰り返された遺体処理
吉田容疑者のほかに逮捕されたのは、同容疑者の実兄の島岡丞(たすく)(34)と川村幸司(40)の両容疑者。
捜査関係者によると、島岡容疑者は容疑を否認しているが、吉田容疑者は「(島岡容疑者が)小林さんから借金の返済を迫られていた」と供述し、逮捕容疑だけでなく、小林さん殺害まで認めている。川村容疑者も大筋で認めている。
吉田容疑者の供述などから小林さんが失踪した経緯をたどると、こうなる。
21年5月下旬、吉田容疑者らは「カネを返す」と言って誘い出し、川村容疑者が住んでいた石川県小松市のアパートに小林さんを連れて行った。その後、大量の酒を飲ませて酔わせた上で、暴行を加えたとみられる。アパートの室内には血痕が残されていた。
遺体は約2年間、都内の貸倉庫の冷蔵庫に隠していた。そして、23年7~8月、新潟県内の河川敷やマンションで遺体をハンマーで粉砕し、長野県内の貸別荘でバーベキューコンロで焼いたり、カレーで煮たりした後、新潟、長野両県の山中に捨てたという。
なぜ、ここまで執拗(しつよう)に遺体を処理しなければならなかったのか。小林さんの右肩から胸にかけては蛇の入れ墨が入っていたといい、捜査関係者は「入れ墨から身元が分かってしまうのを恐れたのかもしれない」と指摘する。
捜査1課は吉田容疑者が捨てたという山中などを捜索したが、結局、小林さんの遺体を見つけることはできなかった。それでも、吉田容疑者らの供述通りにハンマーやコンロを購入していたことが確認されたため、死体損壊と同遺棄の容疑で逮捕に踏み切った。
同課はアパートから見つかった血痕をDNA型鑑定し、小林さんのものと一致するか調べており、殺人容疑が固まれば、吉田容疑者らを再逮捕する。
■「消された…」 地元を駆け巡った不穏なウワサ
一年を通して観光客でにぎわう東京・浅草。4~5年前からダイニングバーを共同経営し、地元の友人たちから「コバカズ」の愛称で慕われていた小林さんが突然、行方をくらましたというウワサは、すぐに友人の間を駆け巡った。
幼なじみの男性によると、小林さんが失踪直前、周囲に「俺はもうダメかもしれない」「ずっと浅草を離れることになる」と話していたこともあって、「コバカズは消された…」というのは暗黙の了解のようになっていたという。
別の知人男性は「コバカズの失踪直後、吉田容疑者から『兄貴に言われて、人を殺して埋めた』と聞かされていた。思い悩んでいるような感じで、『俺、やっちゃったよ』と漏らしていた」と打ち明ける。
小林さんの両親は同年6月に捜索願を出したが、昨年、知人から「小林さんは殺害されている」との情報が寄せられことで、警視庁は捜査1課を投入して本格的な捜査に乗り出した。その後、小林さんが失踪当日に知人に「カネを返してもらいに行く」と言い残していたことも分かった。
捜査関係者によると、島岡容疑者は小林さんから約2000万円を借りていたとみられており、小林さんが「カネを返してもらう」と言っていた相手は、島岡容疑者だった可能性が高いという。
■投資話でトラブル? 「せめて供養を…」
捜査関係者によると、小林さんの交友関係を調べる中で、株の購入を持ちかけて、カネをだまし取る詐欺グループの存在が浮上した。島岡、吉田両容疑者がそのメンバーだったことから、捜査1課も8月に詐欺容疑で逮捕している。
「(島岡容疑者は)地元では詐欺師として有名で、架空の投資話を持ちかけるのがいつもの手口。暴力団からカネを預かっていたが、そのまま連絡が取れなくなり、追われていたという話もある」。島岡容疑者を知る男性はこう証言する。
小林さんの知人男性によると、小林さんはかつて暴走族のメンバーだったことがあり、島岡容疑者も地元の不良グループに所属していたことから、2人には接点があったとみられる。
小林さんは失踪前、ダイニングバーを共同経営する男性からカネを借り、海外に衣料品店を出そうとしていた。ところが、リーマンショックなどの影響で実現せず、「一時的に借金が1億円近くに膨らんでいた」(知人男性)。
小林さんは「カネに困っている」と周囲に打ち明け、知人の葬式に参列した際は「香典に3000円しか出せなかった」と嘆いていた。カネに困った小林さんが島岡容疑者らの投資話に乗り、その後、返却を迫ってトラブルになったという見方も浮上している。
小林さんの遺体はどこに消えたのか。「島岡容疑者がウソをついていたり、まだ隠したりしていることがあるかもしれない」(捜査関係者)。小林さんの知人男性が祈るように語る。
「せめて遺体だけは見つけ出し、葬式を挙げて供養してやりたい」
産経新聞 10月14日(日)18時9分配信
ハンマーでバラバラに砕き、コンロで焼いて捨てた-。平成21年から行方不明になっている東京都台東区の飲食店経営、小林和之さん=失踪当時(27)=の遺体を長野県や新潟県の山中に捨てたなどとして、警視庁捜査1課が9月、死体損壊と同遺棄の疑いで逮捕した吉田慶太容疑者(30)の口から語られたのは、狂気ともいえる犯行の告白だった。小林さんとカネの貸し借りをめぐってトラブルになっていたといい、何度も場所を変えながら隠蔽工作を重ねていったとみられる。小林さんの遺体はいまだに見つかっていない。(中村翔樹)
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■「借金返済を迫られ…」 繰り返された遺体処理
吉田容疑者のほかに逮捕されたのは、同容疑者の実兄の島岡丞(たすく)(34)と川村幸司(40)の両容疑者。
捜査関係者によると、島岡容疑者は容疑を否認しているが、吉田容疑者は「(島岡容疑者が)小林さんから借金の返済を迫られていた」と供述し、逮捕容疑だけでなく、小林さん殺害まで認めている。川村容疑者も大筋で認めている。
吉田容疑者の供述などから小林さんが失踪した経緯をたどると、こうなる。
21年5月下旬、吉田容疑者らは「カネを返す」と言って誘い出し、川村容疑者が住んでいた石川県小松市のアパートに小林さんを連れて行った。その後、大量の酒を飲ませて酔わせた上で、暴行を加えたとみられる。アパートの室内には血痕が残されていた。
遺体は約2年間、都内の貸倉庫の冷蔵庫に隠していた。そして、23年7~8月、新潟県内の河川敷やマンションで遺体をハンマーで粉砕し、長野県内の貸別荘でバーベキューコンロで焼いたり、カレーで煮たりした後、新潟、長野両県の山中に捨てたという。
なぜ、ここまで執拗(しつよう)に遺体を処理しなければならなかったのか。小林さんの右肩から胸にかけては蛇の入れ墨が入っていたといい、捜査関係者は「入れ墨から身元が分かってしまうのを恐れたのかもしれない」と指摘する。
捜査1課は吉田容疑者が捨てたという山中などを捜索したが、結局、小林さんの遺体を見つけることはできなかった。それでも、吉田容疑者らの供述通りにハンマーやコンロを購入していたことが確認されたため、死体損壊と同遺棄の容疑で逮捕に踏み切った。
同課はアパートから見つかった血痕をDNA型鑑定し、小林さんのものと一致するか調べており、殺人容疑が固まれば、吉田容疑者らを再逮捕する。
■「消された…」 地元を駆け巡った不穏なウワサ
一年を通して観光客でにぎわう東京・浅草。4~5年前からダイニングバーを共同経営し、地元の友人たちから「コバカズ」の愛称で慕われていた小林さんが突然、行方をくらましたというウワサは、すぐに友人の間を駆け巡った。
幼なじみの男性によると、小林さんが失踪直前、周囲に「俺はもうダメかもしれない」「ずっと浅草を離れることになる」と話していたこともあって、「コバカズは消された…」というのは暗黙の了解のようになっていたという。
別の知人男性は「コバカズの失踪直後、吉田容疑者から『兄貴に言われて、人を殺して埋めた』と聞かされていた。思い悩んでいるような感じで、『俺、やっちゃったよ』と漏らしていた」と打ち明ける。
小林さんの両親は同年6月に捜索願を出したが、昨年、知人から「小林さんは殺害されている」との情報が寄せられことで、警視庁は捜査1課を投入して本格的な捜査に乗り出した。その後、小林さんが失踪当日に知人に「カネを返してもらいに行く」と言い残していたことも分かった。
捜査関係者によると、島岡容疑者は小林さんから約2000万円を借りていたとみられており、小林さんが「カネを返してもらう」と言っていた相手は、島岡容疑者だった可能性が高いという。
■投資話でトラブル? 「せめて供養を…」
捜査関係者によると、小林さんの交友関係を調べる中で、株の購入を持ちかけて、カネをだまし取る詐欺グループの存在が浮上した。島岡、吉田両容疑者がそのメンバーだったことから、捜査1課も8月に詐欺容疑で逮捕している。
「(島岡容疑者は)地元では詐欺師として有名で、架空の投資話を持ちかけるのがいつもの手口。暴力団からカネを預かっていたが、そのまま連絡が取れなくなり、追われていたという話もある」。島岡容疑者を知る男性はこう証言する。
小林さんの知人男性によると、小林さんはかつて暴走族のメンバーだったことがあり、島岡容疑者も地元の不良グループに所属していたことから、2人には接点があったとみられる。
小林さんは失踪前、ダイニングバーを共同経営する男性からカネを借り、海外に衣料品店を出そうとしていた。ところが、リーマンショックなどの影響で実現せず、「一時的に借金が1億円近くに膨らんでいた」(知人男性)。
小林さんは「カネに困っている」と周囲に打ち明け、知人の葬式に参列した際は「香典に3000円しか出せなかった」と嘆いていた。カネに困った小林さんが島岡容疑者らの投資話に乗り、その後、返却を迫ってトラブルになったという見方も浮上している。
小林さんの遺体はどこに消えたのか。「島岡容疑者がウソをついていたり、まだ隠したりしていることがあるかもしれない」(捜査関係者)。小林さんの知人男性が祈るように語る。
「せめて遺体だけは見つけ出し、葬式を挙げて供養してやりたい」
