<府文化財解除>大阪市内最古の民家解体へ
毎日新聞 9月24日(月)13時43分配信
大阪市内で最古とされ、大阪府の文化財に指定されていた江戸時代初期の民家「渡辺邸」(同市淀川区)が近く解体される。所有者が多額の相続税を払えないという理由で建物の解体と土地売却を希望。府の古い規則に基づく指定だったため、府の文化財保護条例などと違い、所有者の申請だけで4月に指定が解除された。古い規則に基づく文化財は他に27件あり、府は今後も同様の事態が生じかねないと懸念している。
府教委によると、渡辺邸は平安時代の武将、渡辺綱(わたなべのつな)の子孫の家と伝えられる。敷地約2560平方メートルに母屋や土蔵など6棟が建つ。17世紀初頭に建てられたと推定される。府教委は1965年、「府古文化紀念物等保存顕彰規則」(1949年施行)に基づく重要美術品(文化財)に指定。住居として使用されていた。
ところが一人で住んでいた前所有者の女性が10年5月に死亡。唯一の相続人の女性は昨年12月、府教委に文化財指定の解除を申請した。府教委は土地の買い取りを検討したが、5億円以上かかるため断念。相続人に寄贈を勧めたが理解を得られなかったという。
文化庁などによると、文化財保護法(1950年施行)や同法に基づく文化財保護条例では、指定文化財の所有者に保存義務を課し、所有者の申請では指定を解除できない。しかし、同法や同条例よりも前に施行された府の規則では、所有者に保存義務はなく、所有者の申請で指定解除できる。
府は同規則による指定から、府文化財保護条例(1969年施行)による指定への変更を進めているが、文化財478件のうち27件が、所有者の意向などで規則指定のままだ。
相続人の女性は取材に「全ての相続税を払うには渡辺邸の土地を売る必要がある。遅れれば延滞税もかなりの額に上る」と話している。関係者によると、既に土地を購入する不動産会社との契約も済んでいるという。
こうした動きに対し、地元住民らは保存会を設立し、市に歴史公園として活用するよう求めて署名活動をしている。世話人で前所有者の遠縁にあたる山本憲作さん(40)は「貴重な歴史財産なのに、解体に向かっているのは寂しい気持ちでいっぱいだ」と話している。【小林慎】
毎日新聞 9月24日(月)13時43分配信
大阪市内で最古とされ、大阪府の文化財に指定されていた江戸時代初期の民家「渡辺邸」(同市淀川区)が近く解体される。所有者が多額の相続税を払えないという理由で建物の解体と土地売却を希望。府の古い規則に基づく指定だったため、府の文化財保護条例などと違い、所有者の申請だけで4月に指定が解除された。古い規則に基づく文化財は他に27件あり、府は今後も同様の事態が生じかねないと懸念している。
府教委によると、渡辺邸は平安時代の武将、渡辺綱(わたなべのつな)の子孫の家と伝えられる。敷地約2560平方メートルに母屋や土蔵など6棟が建つ。17世紀初頭に建てられたと推定される。府教委は1965年、「府古文化紀念物等保存顕彰規則」(1949年施行)に基づく重要美術品(文化財)に指定。住居として使用されていた。
ところが一人で住んでいた前所有者の女性が10年5月に死亡。唯一の相続人の女性は昨年12月、府教委に文化財指定の解除を申請した。府教委は土地の買い取りを検討したが、5億円以上かかるため断念。相続人に寄贈を勧めたが理解を得られなかったという。
文化庁などによると、文化財保護法(1950年施行)や同法に基づく文化財保護条例では、指定文化財の所有者に保存義務を課し、所有者の申請では指定を解除できない。しかし、同法や同条例よりも前に施行された府の規則では、所有者に保存義務はなく、所有者の申請で指定解除できる。
府は同規則による指定から、府文化財保護条例(1969年施行)による指定への変更を進めているが、文化財478件のうち27件が、所有者の意向などで規則指定のままだ。
相続人の女性は取材に「全ての相続税を払うには渡辺邸の土地を売る必要がある。遅れれば延滞税もかなりの額に上る」と話している。関係者によると、既に土地を購入する不動産会社との契約も済んでいるという。
こうした動きに対し、地元住民らは保存会を設立し、市に歴史公園として活用するよう求めて署名活動をしている。世話人で前所有者の遠縁にあたる山本憲作さん(40)は「貴重な歴史財産なのに、解体に向かっているのは寂しい気持ちでいっぱいだ」と話している。【小林慎】
