http://mainichi.jp/life/today/news/20100529k0000m020070000c.html
雇用:完全失業率が2カ月連続で悪化 有効求人倍率も
4月の雇用と物価関連の統計が28日発表された。完全失業率は
2カ月連続で悪化したほか、有効求人倍率も8カ月ぶりに悪化。全
国消費者物価指数は14カ月連続で下落した。新興国向け輸出など
外需に支えられて景気が持ち直しつつある中で、内需の力不足の要
因である脆弱(ぜいじゃく)な雇用基盤とデフレ状況の改善が進ま
ず、足踏み状態にあることが浮き彫りになった。
総務省の発表によると、4月の完全失業率(季節調整値)は5.1%
と、前月比で0.1ポイント上昇した。昨年7月に過去最悪の5.6%
を記録した後は、今年1月と2月に4.9%まで回復したが、3月以降
は再び5%台に乗せている。
厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)も0.48倍と、
前月より0.01ポイント低下。企業業績は回復が目立つものの、人材
の採用については積極的な姿勢はみられない。
また、総務省が発表した4月の全国消費者物価指数(05年=100、
生鮮食品を除く総合)は99.2と、前年同月比1.5%の下落だった。
4月から始まった高校の授業料無償化が0.54ポイントの押し下げ
要因となった。この影響を除いた下落率は0.9%と、前月(1.2%)
よりは縮小したものの、デフレ脱却にはほど遠い状況だ。
10年1~3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は4.9%
(年率換算)と高い伸びを示し、好調な輸出を背景に日本経済は自律
的な回復軌道入りをうかがうところまで来ている。だが、足を引っ張
りかねないのが、改善が遅れる雇用情勢と長引くデフレだ。菅直人副
総理兼財務相は28日の閣議後会見で、「失業率が高い時にはデフレ
傾向を促進する。デフレからの脱却のためにも雇用がきわめて重要な
要素」と、雇用対策を重視する考えを示した。
先行きについて、シンクタンクやエコノミストの見方は分かれてい
る。生産の回復が進むことで「雇用環境は改善基調を取り戻し、デフ
レ圧力も緩和傾向をたどる」(野村証券金融経済研究所)との見方が
ある一方、みずほ証券の上野泰也氏は「構造的なデフレから脱却する
時期はまったく見えない」と慎重だ。欧州の信用不安の拡大も懸念さ
れ、景気の先行きはなお楽観できない状況が続きそうだ。【久田宏】
