私はメキシコ料理屋の新米給仕人、NORA。
料理のこと、その料理が育まれた国のことを
少しは知って運びたいと思い始めました。
お店のマスター、ヨシオカさんに訊けば色々教えてくれますが
私は活字が好きであります。
また耳から入ったものと、目から入ったものとはどうも
頭の中で別のところにしまわれてゆく気がするのです。
しまわれた知識の種から芽や根が生えます。
頭に入ってきた経路、種の落ちた場所によって
生えるものの種類は違います。
色んなのが生えたらいいと思います。
というわけで、図書館へ(*'ー')
この本は図書館の機械で「メキシコ料理」と検索して見つけました。
表の本棚ではなく保存庫へ行っていたので
図書館の人にお願いして持ってきてもらいます。
タイトルからレシピ本だと思っていたら
ハードカバーで文字が多そうな本。
あら‥(*'ー')?
持ってきてもらって、返すわけにもいきません。
借りてきました。
レシピも載っていますが、写真は市場や食材が数枚あるだけで
基本的に文字で料理や素材を紹介している本です。
でもこれが結構おもしろい(*'ー')!
著者、佐伯アリシア喜久子さんは日本で生まれ育って
栄養士の資格を持ってずっと働いてらした方です。
スペイン語会話を習われたりはしているものの
メキシコとは無関係なその人生でした。
が、40代でした結婚を期にメキシコに移住。
そしてメキシコ料理や民族衣装、文化の研究が始まったのでありました。
この本は移住17年後に書かれています。
みっちりと、メキシコ暮らしの空気が込められた一冊です。
紀行文とは違う「毎日」があり「毎年」があり、「その後」があります。
親のカタキみたいにメロン(一個六十円ぐらい!)を食べまくり
数年後にはメロンに飽きたりしています。
同じくマツタケにも飽きたそう(笑)
これは住まねば分からん境地ですね‥(*'ー')
特に文章を書くお仕事をされていたわけではないのですが
読みやすくておもしろい文章の方です。
本の前半は、ご自身の半生やメキシコ暮らしスタート時の話
メキシコ各地へ出かけた話や、民族衣装を集める話‥
色んなお話があって楽しいです。
好奇心と行動力、記憶力がすごい!
後半は料理や素材をそれぞれ短い文章で
これまた色々紹介しています。
でも単なる羅列にはなっていなくて、まったく飽きません。
長年暮らしてる方だけあって
たいていのお料理にちょっとしたエピソードが存在するわけです。
それが楽しい(*'ー')
これは借りてきて大正解。
お料理の勉強以上のものを得られた本でした