どっち? | けものみち

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日記のようなものです。

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明後日、日曜日は小学校の同級生の結婚式です。
私は二次会だけの参加。
だから少し小物で遊びたくなって、
ビジュー付きのカラーパンプスを買いました。
元々持っていた方は品がよすぎる気がして‥

でもこうしてドレスに合わせてみると
カラーパンプスは思ったよりダークな色味です。
右の靴の方が華やか?


二つを並べて見ていたら、懐かしいことを思い出しました。
母方の、祖父の妹にあたる大叔母様のこと。

祖父はきれいなものが好きでした。
滑稽なもの、可笑しいもの、愉快なものも好きでしたが
特別枠として「美」への思いがありました。
それは彼の母、料理旅館の跡取り娘であった曾祖母から
受け継いだ意識だった様でした。

祖父ら五人兄弟、姉妹のうち、祖父含め三人が確実に、
別のもう一人もおそらくは、曾祖母の美意識を強く引いていました。

残る一人、今日思い出した大叔母様は
兄弟の中で少しだけ、違う性格を持った人と聞いていました。
他の人たちの持つ、ドライな面がないとか、そんなお話を。

10年ほど前に祖父は他界し、そのお通夜が2月半ばにありました。
大叔母様はご自分もつらかったと思うのですが
私たち、祖父の孫一同を呼び寄せて
「バレンタインがあったからこんなもの買っちゃったのよ、
食べて元気をお出しなさい。」と
チョコレートを一人一人の手に乗せてくれました。

五人中四人までが、かなりの痩せ型だった祖父たち兄弟。
人として冷たいわけではないけれど、
朗らかさとは遠くて、笑うときもニヤリとだけ笑う人たち。
大叔母様は一人だけややふくよかで、
笑顔もいかにも温かい感じの人なのでした。

何年か前、その大叔母様が長年通ってらした
彫金教室のグループ展に行きました。
母と姉と私の三人で行ったのですが、
そもそも大叔母様には何度かしか会ったことのない我々姉妹は
母たちから離れて、それぞれ色んな作品を見て回っておりました。

そのうち大叔母様が私たちを手招きし、自分の前に並ばせました。
チョコレートをくれたときとは少し違った雰囲気でした。
そして一呼吸置いて楽しそうに、言ったのです。

「どちらが美しいかしら?」


さて時は流れて、並んだ靴を私が見ています。
どっちの靴がいいかしら‥

やはり実際身につけて考えましょう。
‥猫がどいてから。


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