Thank you for Smoking (2006年) | ホタル舞う夜の空

Thank you for Smoking (2006年)

主人公はタバコ業界のスポークスマン。

激化する禁煙運動と戦い、販売量が落ち始めたタバコ業界を救うために雇われ、アメリカ中を駆け回りマスコミにも顔を出す。

プライベートでは離婚していて、一人息子を精一杯愛し、父親としての役割を果たそうと頑張っている。

そんな、いわゆるステレオタイプなエリートアメリカ人。


健康に害を与える恐れがあることは百も承知、
でも、必ず害があるってことだって科学的に実証されたわけじゃない、
統計で見たってタバコが原因で死亡したとされているケースはごくわずかだ

という具合に、敵意剥き出しの禁煙キャンペーンの代表者たちを言いくるめていく。

タバコ業界のスポークスマンとして働いているのは、
「しゃべるのが得意だから」
「そのしゃべりを必要とし、高く評価してくれるから」


タバコ業界と禁煙運動を繰り広げる団体との争いを題材としているけど、
映画の背景にある主題は、USA社会特有の「論争」


「(利益を獲得しようとするために)取引しようとするのではなく、根拠を並べろ(相手の主張の裏側にある本当の理由を考えてそこをつけ)」

「自分が正しいかどうかは問題ではなく、相手(の主張)にも非があることを論証しさえすればこっちの勝ち」


主人公が、
屁理屈にも近いような論拠、
気転を利かせた飴(慈善プロジェクトなど)の使い方、
甘いマスク
で、敵を論破し、観衆を丸め込み、世論の操作をする。

策の掛け合い、互いのあら捜し。


論争社会の実像を皮肉っていて、すごく面白い。

ラストの主人公の転身もいかにもアメリカ的。


人生、勝ち負け。

なのか?

公式Webサイト
http://www.foxjapan.com/movies/thankyouforsmoking/