GとJの恋 | ホタル舞う夜の空

GとJの恋

ドイツでは、「付き合ってください」とか、「彼女になってください」なんていう告白はしない。

と思う。
少なくとも、私はされたことがない。

良いな、と思ったらデートに誘う。
週末に会わない?とか、ご飯食べに行かない?とか、とってもラフな言い方で誘われる。
行く先も、気取ったレストランとかバーとかでなければならないわけではなく、
映画だったり、普通の飲み屋だったり、カフェでコーヒーだったり、森へ散歩だったり、
とにかく二人で時間を過ごそうということになる。
その場で二人の雰囲気が盛り上がれば、また二人で会うことにする。
それを繰り返しているうちに、キスしたり、家に招いてご飯を作ってあげたり、そのうちに泊まっていったりする関係になる。

もちろん、あくまで友達として気が合って楽しいからまた会おうってこともあるから、
二人で会うからカップルってわけではない。
セックスするけど、友達、みたいな人だってきっといるはず。

じゃあ、どこで分かるのか?
・・・。

雰囲気、かな。

会話の中で自分達をセットにした話になったり、家族に紹介されたり、友達にパートナーとして紹介されたりする。

「あ、今、私のこと、彼女って紹介した」

そんな感じ。

さて、本題のGとJの恋物語。

アメリカ人のGとオランダ人のJは大学で知り合った。
二人とも、誰に対してもオープンでいつも明るく、冗談ばかり言っては笑いを取るタイプだ。
Jはヨーロッパの男の子らしく、女の子を紳士的に大切に扱う心優しい男の子。
Gは周りをあんまり気にしないで、前後も考えず行動して周りを巻き込んだりするちょっとカオスな女の子。
いつも数人でワイワイと楽しそうにしている彼らが、いつからか二人だけで見かけられるようになった。
私達の間では、みんな彼ら二人が付き合っていて、上手く行っていると信じて疑わなかった。

そんな二人の関係は、長くは続かなかった。
Gの煮え切らない態度に、Jが辛くてついていけなくなってしまった。
思い悩んだ挙句に、Gに別れを告げたJ。

後日、いまだにとっても興奮状態のGが早口にまくし立てる。

「Jから、私とはもう終わりにするって言われたの。
終わりにするなんて、そんなことできるわけ無いじゃない。

だって、わたしたち、付き合ってないんだから!!!

そりゃあたしかに、キスしたりじゃれあったりもしたわよ。

でもそんなことあたし、誰とでもするし。」

そうか、アメリカでは、デートすることとパートナーとして交際することは別なんですね、もみじさん
ようやく、ここ数年来の疑問が解けました(笑

そう言えば彼女、こんなことも言っていた。

「彼は、一緒にジョギングに行ったり、サイクリングに行ったりするのにすごく良い相手だったのに、それが出来なくなるのは残念だわ」

明るくて楽しいGは大好きだけど、当時は、「あの心優くて人懐っこいJをもてあそぶなんて、可愛い顔してなんていうモラルを持った子なんだって」思った。でも、これも文化的背景の違いっていうんだろうか。