FLASHDANCE(original soundtrack) | walkin' on

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アナログレコードのレビューを中心に音楽に関するトピックスを綴っていきます
 歌詞の和訳や、時にはギターの機材についても投稿します

レコード番号:25S-164(Casablanca) 1983年(国内盤)

 

 

 このところサウンドトラック盤(ST)づいているボクですが、これは最近リサイクルショップに足を運ぶことが多い…というか中古レコード専門店に行けず、やむなく近所の店ばかり漁っているからです( ;∀;)

 

 この”FLASHDANCE”のSTも実は以前にブルース・リーの”ENTER THE DRAGON”を見つけたお店にもあったのですが、オーディオ用電源ケーブルを見つけた別のお店にあった帯付きの方を選びました。

 

 

ジャケット裏。細い線の筆記体がスティングのライヴ盤”BRING ONTHE NIGHT”みたいです。

帯をかねたライナーが付いておりまして

解説と

歌詞が。おそらくリリースを急ぐためにこのようなポン付け(?)出来る仕様にしたのではないでしょうか。

 

 

 

 

 1977年(昭和52年)生まれのボクと同年代もしくは上の年代の方にお訊ねしますが、

1983年ってどんな年でしたか

 

 かく言うボクは当時8歳、せいぜいファミリーコンピュータ(初代ファミコン)が発売されたこと、フィル・コリンズが”You Can't Hurry In Love”をカバー、ラジオで流れていたのをかろうじて覚えているくらいなのですが、ポリス(THE POLICE)がアルバム”SYNCHRONICITY”をリリース、しばらくしてスティングがソロに転向することで解散します。デイヴィッド・ボウイは”Let's Dance”を、ユーリズミックスは”Sweet Dreams”を、スパンダー・バレエは”True”をヒットチャートに送り込んでいます。そうそう、ラッシュ(RUSH)の最初にして最後の来日公演もこの年でした。

 

 映画では”E.T””南極物語””スター・ウォーズepisode6:ジェダイの帰還(当時は『復讐』でしたね)、007シリーズでは”OCTOPUSSY”、そうそう『ランボー」の第1作が当時”FIRST BLOOD”の題で公開されました。

 その中で日本の年間収入ランキングの第4位につけたのが”FLASHDANCE”だったのです。

 

 そのSTとなればヒットは確実!なはずなのですが、このST盤、実は映画の日本公開よりも前にリリースされていますマジか(・_・;)

 パラマウント制作のこの映画のUS公開が4月、日本では7月に公開されており約3カ月のラグがありますが、

待たれへん(;^ω^)

とばかりにST盤を先行リリースしていたようなのです。

 

 なんせメインテーマ”Flashdance...What A Feeling”(正式題)がUSビルボード・ホット100ならびにキャッシュボックス・トップ100の両チャートで首位まじかるクラウンを獲得、ST盤ではラストを飾るマイケル・センベロ”Maniac”もビルボード首位という2枚看板を掲げたアルバムの日本市場へのリリースを遅らせてはならじ、とレコード会社も焦ったのでしょう、簡素極まりないパッケージのこのLPのパッケージを見てもそれは容易に察せられます。

 

 そして映画の日本公開後の7月にはメインテーマがオリコンの週間洋楽シングルチャートで21週にわたって首位まじかるクラウンを獲得スゲー(゚〇゚)という大ヒットを記録したのです。

 

 

 

 

 映画のST盤についてあれこれ書くのも無粋な気もしますが、”FLASHDANCE”の劇中歌をあつめたこのLPを聴いていて気付くのがシンセサイザーやリズムマシンといった機械モノの音の比率が大きいことです。

 シンセサイザーにしても、それまでアナログ方式で一音ずつしか鳴らせなかったモノフォニック方式から複音式(ポリフォニック)を実現したデジタル方式への移行が進んでいましたし、単純なフレーズの繰り返し(シーケンス、sequence)しか再生できなかったシーケンサー(sequencer)が複雑なパターンを鳴らせるようになったことで、他の楽器との合奏に積極的に導入する流れが本格化した時代が80年代初期でした。

 

 このSTで辣腕を振るったのがオリジナル楽曲の作曲を担当したジョルジオ・モロダーであり、音楽監督にクレジットされているフィル・ラモーンです。

 フィル・ラモーンはビリー・ジョエルの”STRANGER”を手がけたことでも知られますが、ニューヨークの街の片隅の空気をそのままパッケージしたような”STRANGER”とはずいぶんと雰囲気の異なるこの映画のSTでもその手腕を発揮しています。

 

 対して映画音楽の第一人者と呼ばれるほどのビッグネームたるジョルジオ・モロダーはブロンディの”Call Me”の作者でもあるらしいのですが、このSTに収録の”Manhunt”は、言いたくはありませんがどう聴いても”Call Me”の焼き直しです(^_^;)

 決して手を抜いたわけではないのでしょうし、曲をヒットさせた実績があるからこそSTへ起用されるのでしょけど、さすがに聴いていて怯みます。

 

 

 

 

 調べて知りましたが、映画”FLASHDANCE”の続編の制作の計画があったそうですが、主演のジェニファー・ビールスが断ったことで実現しなかったそうです。

 

 映画公開から37年経った現在、もしも続編やリブートによる新作の制作が実現するようなことがあれば、ST盤の制作陣はさぞ大変な思いをしなければならないだろうな、などと考えてしまいます。

 なんせ、現在ではあまり名を聞かなくなったものの当時はチャートに多くのヒット曲を送り込んでいた

キム・カーンズ

ドナ・サマー

ローラ・ブラニガン

といったヴォーカリストだけでなく、マイケル・センベロのような優れたソングライター、そして映画のメインテーマを堂々と歌いきったアイリーン・キャラ、等と対等に張り合えるタレント達を集めなければならないのですから。映画同様、このST盤もまた大変な力作であり傑作であることは間違いありません。

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