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アナログレコードのレビューを中心に音楽に関するトピックスを綴っていきます
 歌詞の和訳や、時にはギターの機材についても投稿します

レコード番号:MPF-1169 (Polydor) 1978年(国内盤)

 

 このアルバムを持っている(た)、または聴いたことがあるという方がどれくらいいらっしゃるか想像がつきませんが、個人的には思い入れのアルバムなのでご紹介します。

 

 このアルバムはCDを2回買いなおしましたが、いずれもデジタルリマスター前の、おそらく90年代頃と思われる盤でした。

 だから、というのは正確ではないかもしれませんが、音はいまいちでした。リマスターされた現行盤と聴きくらべるまでもなく、ドラムは軽く、ギターは切れ味が鈍く、シンセは薄っぺらな感触が消えません。

 

 レコーディングされた1978年という時代を考慮しても、これはちょっとなぁ…と首をかしげてしまうものでした。

 

 2枚目のCDを売却してから約2年後、真夏の大阪市内を自転車で走り(電車代をケチるため)、汗まみれになってたどり着いた日本橋の中古レコード店でこのアルバムを見つけた時は少し迷いました。やっぱり音がショボかったらどうしよう、という迷いが生じましたが、帯有りでジャケットの状態も良好なので、これを逃すべきではない、と判断し購入しました。

 

 

 

帯がデカい。

 

帯を外すとジョン・ウェットンが。『ウェットンを探せ』状態。

ジャケット裏はグレートブリテン島の衛星写真。バンド名のUKとかけているようです。

 

ライナーノーツ。各メンバーの顔の側に名前が。

ライナーにもグレートブリテン島とUKの文字。

”CS-80複音式シンセサイザーはヤマハの製品です”ってなんのことやら(。´・ω・)?

 

 それまでひとつずつの音しか鳴らせなかったシンセサイザーが技術の進歩によりやっと複数の音を同時に鳴らせる(ポリフォニック)モデルが実用化されたのです。

 ヤマハCS-80はその中でも初期のヒット作で、他にはポール・マッカートニー&ウィングスの"With A Little Luck"にも使われ、その独特の浮遊感ある音色を奏でています。

Paul McCartney and Wings.. With A Little Luck 1978) Lyrics included -YouTube

 

 

 

 キング・クリムゾンが活動を停止してからのジョン・ウェットンとビル・ブルーフォードはアメリカ市場で成功できるバンドの結成を目指します。

 ブルーフォードにとってのイエス時代の同僚リック・ウェイクマンを誘ったものの、マネジメント面で折り合いがつかず勧誘を断念。ウェットンがロキシー・ミュージックで共演したことのあるエディ・ジョブソンが加入しました。同様にギタリストも名手エリック・ジョンソンを候補に挙げていたようですが、結局ブルーフォードと共演歴のあるアラン・ホールズワースが参加することになりました。

 

 全員が既に有名グループでの演奏経験があることから「スーパーグループ」と呼ばれたUKですが、このデビュー作完成後に早くもホールズワースが抜け、ブルーフォードも去ってしまいます。

 ウェットンは新しいドラマーにテリー・ボジオを得てジョブソンとのトリオに再編成、第2作”DANGER MONEY"を作り上げ、来日公演を敢行。この模様をライヴアルバムとしてリリースしましたが奮闘空しく1980年にUKは解散しました。

 

 帯の「憂国の四士」が示すように、このバンドへの日本の、プログレッシヴロックファンからの期待は非常に大きいものでしたが、このバンドがわずか2年あまりで歩みを止めてしまったことが今でも残念です( ;∀;)

 

 後の2011年にブルーフォード及びホールズワース抜きで再結成が実現しましたが、ホールズワースとウェットンが世を去り、ブルーフォードも海外へのコンサートツアーからの引退を発表、UKはもはや伝説の域へと足を進めつつあります。

 

 

 

 

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