なんて自分って未練がましい男なんだろ。
昨日の夢に高校生の時の彼女が出て来た。
同時の姿、形のまま現れてくれた。
自分は何故か今の姿。 老人だ。
18:30分 仕事が終わるのを校庭の鉄棒の影で待っていてくれた。
彼女に駆け寄り速攻で手を繋いだ。
今から48年前に 勇気が無くて出来なかった事、
手を繋いで街中を歩く。
たったそれすら出来なかった。
俺さあ ずっーとこれがやりたかったんだよ。
勇気が無くてさあ ごめんね。
あのさ、俺の誕生日に一緒に秩父の山に登った時の事覚えてる?あの日も急な降りの斜面ですら君の手を握れなかった。ごめんね。
必死で彼女に訴えていた。
ごめんね。
あの日に君がお弁当を作ってくれていたなんて全く知らなかったんだよ。
なのにロッテリアのエビバーガーなんて頼んじゃってさ、馬鹿だよね。俺、
今でもあの時のお弁当は今でも1番たべたいよ。
あ、それとね 一昨年の夏の終わりに 君が通っていた学校の正門に行ってみたよ。
半世紀も経ったけれどあの頃と何も変わっては居なかった。
それとね、あの2人で歩いた駅へ向かう道だって 君の手を繋いで歩きたかったんだよ。
ごめんね。
うん 私もそう思ってた。
同時の姿のままの彼女が繋いだ手をぎゅっと握り返してくれた。
まだまだ話したい事がたくさんあるんだ。
頼むから消えないで
もっと手を繋いでいたいんだ。
消えないで頼むから
消えないで。もっともっと話しがしたいんだ、
彼女の姿が少しずつ薄れていく。
待ってよ まだまだ話したい事がたくさんあるんだよ。
でも駄目だった、
どんなに力いっぱい手を握りしめても彼女が薄くなってゆく。
そして彼女の姿が霧が散るように消えてしまった。
最後の最後に彼女に向かって叫んでいた。
俺は今、しあわせだから、
君の事は絶対に忘れないからね。
目覚まし時計で目が覚めた。
来月で64になる オッサンが泣いていた。




