そうすけ と らく の言い争う声のあと


らくの大きな泣き声が聞こえてきた。


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ぼくは少し離れたところで作業をしている。



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ふたりの周りには別の3人の子どももいた。





あんまり泣き声がやまないので、

気は進まないが、みんなのところへ近づいていく。



(基本、当事者同士で解決して欲しいと考えてる)




「らく、どうして泣いてるの?」

と らく に尋ねると、



さつき と はるみ が

「あのねえ・・・、」


と説明し始める。


「いやいや、らく から聞きたいの。」





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実は、先日、らく がこう話してくれたことがあったのだ。



「昨日、さつきとけんかした。

最初に、らくがネジをかくした。

さつきが怒った。

そんで、らくが泣いた。」


そう。

らくは自分が泣くことになった もともとの理由をちゃんとわかってる。


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泣きやんだものの、らくは押し黙っている。




少し向こうにいる、むっとした表情のそうすけのところに行って、


「何があったの?」


と問うと、


「らくが笹の棒を振り回して、目にあたりそうになった。

そんで、そうすけがおこってやった!」


と、説明してくれた。





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らくのところに戻って、もう一度、尋ねると、

今度はそうすけとおんなじ内容で、あったことをそのまま、話してくれ、

最後に


「・・・・そんで、らくが泣いた。」

と結んだ。






くやしながらも、自分の非を受け入れている様子。



自分が笹を振り回して注意されるのは、今回が初めてではない。

そうすけに怒鳴られたくやしさと、またやっちゃったという自分に対する不甲斐なさ(?)。



涙にもいろいろ訳がある。



至らない自分を見つめ、受け入れるって、たやすいことじゃないんだよなあ・・・。

他人から指摘されるのも腹がたつけど、自問自答するのもラクじゃない。


大人になったぼくも練習中です・・・。





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