今回も星食ビデオ観測研究会ネタです。
最近早く帰れないので新しい試みが中々進まないので手抜きです^^;


以前、スピカ食について考えるで、なんのために星食観測をするのかということについて調べたことがあります。
今回、星食ビデオ観測研究会で相馬先生による、「星食観測の意義について」という講演がありました。
まさに生の声で星食観測の意義について聞けたのですね(≧∇≦)

以前、調べた内容とほぼ一致していたのですが、せっかくメモしてきたので、ここにもメモを残します。

(1) 月の運動研究

 月がBrownの月動論どおりに動かなかったため、常に補正値を求める必要があった。
 そのときに星食観測が使われていた。
 H.Spencer Jones(1939)が地球の自転速度が変動していることが原因であると結論づけて終了。

(2) 暦表時の決定

 世界時UTが一様に進まないため、一様に進む暦表示ETを決めるために星食観測が利用された。
 ところが1970年以降、月のレーザー測距によって精密に求められるようになったため終了。

(3) 測地系のずれ決定

 日本測地系(経緯度)が世界の測地系からずれていた。そのずれの決定に星食観測が利用された。
 1948年の礼文島で起きた金環日食では重要な役割を果たした。

 参考URL
   http://www.nhk.or.jp/space/blog/onair/20120427.html
   http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/00/Kinkan.syoku.html
 http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1948/index.htm

(4) 離島の位置の決定

 離島では三角測量が使えないため、星食により経緯度が測定された。
 現在はGPSにより測定されるようになって終了。


これまでの(1)~(4)はすでに役目を終えています。

(5) 月縁を求める

 今まではwattの月縁図が使われていたが、誤差が大きく星食により正しい月縁が求められた。
 現在では、かぐややNASAのLOLAなどにより、高精度な月縁が取得出来るようになった。
 
(6) 星の位置の誤差

 現在ではHipparcos星表が良く用いられるが、星食観測によりその誤差を求めることが出来る。

  Hipparcos 0.25mas/year
  FK5 -3.0mas/year

(7) 重星の発見、重星の位置関係

 重星の星食のビデオを見たのですが、これがまた興味深かったです。
 一瞬、暗めの星が月の暗縁部から出現するのですが、そのすぐ後に急激に明るくなるのです。
 言ってみれば、階段状に出現するのです。
 これは重星の星食によるもので、この方法により遠くにある恒星に未知の重星を発見することが出来るのです。
 また、この時間差を測定することにより、恒星間の角距離が求められるということでした。


そして、星食観測は現在では専門家はやっておりません。
そのため、これからもアマチュアにどんどんやっていただきたいというようにお願いされました。

星食はアマチュアが活躍する場であることは間違いなさそうです(≧∇≦)