平野啓一郎 著
とても面白かった
メイン軸のストーリーに加え、枝葉のエピソード話に、かなり引き込まれた
再婚した男性は、実は別人だった
(亡くなってから判明したのだが)
彼は、戸籍ロンダリングをしていたのだ
自分の過去を、誰かの過去と取り替える
それを仲介する業者もいる
登場人物それぞれの背景やキャラが生き生きとしていて、親しみや薄気味悪さ、いやらしさを、怖いほどに感じた
亡くなった"ある男"の正体を突き詰めようとする弁護士
彼自身の家庭生活の危うさも気がかりになるw
彼は在日三世
在日を感じることなく生まれ育ったにもかかわらず、社会に出てから、見えないアイデンティティーに、じわじわと締め付けられていくように感じる
自分こそ、過去を取り替えてみたいと思ったり
他の人の人生を生きてみたいと考えたり
死刑囚と死刑のこと
ヘイトスピーチとカウンターデモのこと
ジェームス・バルガー事件と犯人のその後
犯罪者家族のその後
あれこれ考えさせられるアイテムの多い小説だった